人材不足に悩む日本のIT産業が危機を脱する方法は何か。「将来のITトップ候補生」を目指し、経団連を中心に産学官連携による人材育成が進められている。その成果はいかに……?
日本IBMは6月3日、企業の経営層や大学関係者などを対象としたセミナー「IBM IT人材育成フォーラム」を開催した。フォーラムでは、同社のソフトウェア開発研究所所長で執行役員の岩野和生氏をモデレーターにパネルディスカッションが実施され、新日鉄ソリューションズの常務取締役で日本経済団体連合会(経団連) 高度情報通信人材育成部会 戦略・企画チーム座長を務める大力修氏、東京大学大学院情報理工学系研究科の今井浩教授、筑波大学大学院システム情報工学研究科の田中二郎教授が「日本におけるIT人材育成と産学官の取り組み」をテーマに議論を深めた。大力氏は「(産学官の連携で)即戦力となる人材をつくるのではなく、5年後、10年後のトップ候補生を育てるべきだ」と意気込んだ。
日本におけるIT人材不足は深刻だ。少子化に加えて若者の理数系離れが進んでおり、ITエンジニアを志望する人数は減少傾向にある。一方で、人口増加を続けるインドや中国ではIT産業が花形となりつつあり、毎年数十万人の学生が業界を目指しているという。この状況が日本の国際競争力の低下を招くとみる意見も多い(関連記事:北城最高顧問の講演)。
「最近の学生はソフトウェア開発をはじめIT業界の仕事に対して良いイメージを持っていない。もはや(きつい、帰れない、給料安い)3Kではなく、『身体を壊す』や『会話がない』などを含めた42Kだという声も聞く。しかし、今やソフトウェアは自動車業界や医療業界などあらゆる産業で基盤になっており、この技術力を失えばすべての分野で国際競争に負けることになる」(大力氏)
こうした危機意識から、経団連は2005年6月に意見書「産学官連携による高度な情報通信人材の育成強化に向けて」を発表し、上級レベルの技術を身に付けた高度ICT(情報通信技術)人材の育成に乗り出した(図1参照)。2007年4月には、経団連の重点協力校となる筑波大学および九州大学の大学院修士課程において、産業界のニーズに対応したICT人材を育成する新コースを開設し、カリキュラム作成や常勤講師の派遣、インターンシップの受け入れなどで積極的に支援する。
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明治学院大学 経済学部准教授