中国の目覚ましい成長を支える、不安定な金融基盤海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(1/3 ページ)

ここ数年の中国の経済発展は目覚ましいものがある。こうした中国の経済成長を支える金融政策とは。

» 2012年05月02日 08時00分 公開
[エグゼクティブブックサマリー]
エグゼクティブブックサマリー

 この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。

3分で分かる「赤い資本主義」の要点

  • 中国の経済発展は世界中が目を見張るほどのものだが、1970年代の中国の経済は危機にひんしていた
  • 1974年、当時の最高指導者だった」小平が国連を訪れた時、代表団が用意できた旅費はわずか38,000ドルだった
  • 中国の金融市場を牛耳っているのは、市場力ではなく共産党幹部である
  • 中国は、国有銀行や政府関係団体への資金供給を、大手銀行に頼っている
  • 中国の銀行は、規模の割には革新的でも、国際競争力があるわけでもない
  • 中国はかつて、「鳥かご」政策を使って外国投資を特定の地域に限定していた
  • 中国の債券市場は活気がなく、毎日わずか数百件の取引しか行われていない
  • 中国の銀行は中国の総国債の70%を保有しており、ローンのように満期まで保有している
  • 共産党は、上場企業すべての所有権を持つことで、アジア最大の中国株式取引所を管理している
  • 中国の将来の年金債務は、年間GDPの10%から40%に相当する

この要約書から学べること

  • 中国政府はどのようにして金融部門を立て直したか
  • 中国の株式債券市場が、中国の経済において果たす役割
  • 中国の金融システムでは、将来の経済成長を維持することができない理由

本書の推薦コメント

 本書は、関係者が明かす中国式資本主義をまとめたものであり、意気揚々と世界最大の経済大国になろうとしている中国の経済にまつわる逸話を明かしています。アジアの金融専門家であるカールE・ウォルターとフレイザーJ・ハウイーは、中国共産党が統治する金融システムの内部関係を暴いています。

 共産党幹部、企業経営者、技術系出身の官僚の間の対立(皆、政治的および個人的利益を競っています)や、抱える問題の不可解性、そして、国有企業の外国投資家への売り込みなどが明らかにされています。さらに、中国が欧米諸国に見せる近代的で洗練された国というイメージの裏にある、複雑で、多くの場合秘密裏に行われている企みについて深く掘り下げています。

 ほとんどの人々が知る機会のなかった実態を詳しく知ることができます。金融および資本市場分野の主役や政策の細部や上級レベルの財務分析について、これまでの中国の輝かしい成長を本当に後押ししている中核となるものが具体的に述べられています。中国の金融基盤を詳しく知りたいと思うすべての人に本書をお薦めします。

 ここ数年の中国の経済発展は目覚ましいものがあり、現状でGDPは日本を抜き、今後も10年間で世界で最も経済発展する国だといわれています。2004年度以降は、年間で10%平均での経済成長率を占める数値を示しています。中国の高度経済成長は、安価な労働力に支えられた輸出産業といわれています。

 90年代後半より始まった世界的な経済不況によって日本をはじめ欧米各国の企業が、製品の生産コスト削減のために、労働賃金の安い中国へ工場を移転することによって、中国での生産需要が大幅に伸びた結果ともいえます。

 中国の経済成長は、労働単価の安さで支えられています。言い換えれば、製造コストが上がることで成長は止まります。つまり、これはあたかも日本の高度経済成長期に酷似しており、いつかは終りを迎える可能性すら否めないのが現実です。しかしながら、自国の経済発展に大きな貢献をしていることもまた事実です。

 本書「赤い資本主義」では、こうした中国の経済成長を支える、金融政策業界の裏側に迫っています。今やGDPはアメリカにつぐ世界No.2となった中国は、一体どのような方向性で舵取りを行いどこまで発展し続けるのでしょうか。かつて日本が体験したバブル期との違いや経済成長の更なる行方を深く掘り下げている本書をじっくりと見ていきましょう。 

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