ビリー・ジョエルも飛び入り、仮想化とアプリの将来を語るエリソンCEOOracle OpenWorld 2007 San Francisco Report(1/2 ページ)

創業30周年を盛大に祝った「Oracle OpenWorld San Francisco 2007」は、事実上のクロージングセッションであるエリソンCEOの基調講演が行われ、ビリー・ジョエル氏の飛び入りが会場を大いに沸かせた。

» 2007年11月15日 11時45分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「わたしも30年前の写真を見せよう」── 米国時間11月14日午後、創業30周年を盛大に祝った「Oracle OpenWorld San Francisco 2007」は、事実上のクロージングセッションであるラリー・エリソン会長兼CEOの基調講演が行われ、ビリー・ジョエル氏の飛び入りが会場を大いに沸かせた。

 「30年前は髪もふさふさだった」(ジョエル氏)

 スクリーンに映し出されたのは、ビリー・ジョエル氏をスターの座に押し上げた1977年のアルバム、「The Stranger」のレコードジャケットだった。

エリソンCEOの基調講演に飛び入りしたジョエル氏。打ち上げのパーティーにジョエル氏も出演する

 ジョエル氏に「わたしの隣でピアノを弾くかい?」と軽口を叩いたエリソン氏だが、今回のカンファレンスで発表した仮想化ソフトウェアである「Oracle VM」、そしてユーザーのあいだから詳細が分からないと不満が出始めている次世代の「Oracle Fusion Application」について参加者に説明しなければならなかった。

サポート窓口を一本化できるOracle VM

 Xenベースの仮想化ソフトウェアとOracle Enterprise Linuxを完全に一体化して提供するOracle VMは、2002年の「Unbreakable Linux」以降、エンタープライズへのLinux浸透を後押ししてきた同社の取り組みの延長線上にあるものだ。昨年のOracle OpenWorldでは、「Oracleの成功はLinuxの成功に大きく依存している」(エリソン氏)とし、Linux自体のサポートに乗り出すことを明らかにした。

 「われわれは世界最大のサポート体制を整え、145カ国、27言語でLinuxの浸透を後押ししてきた」とエリソン氏。既に1500の顧客がOracleからLinuxのサポートを受けているという。

「Oracleはオープンソースに対する最大の支援者だ」と話すエリソン氏

 Oracle VMは、ここへきて大きな潮流となりつつある仮想化環境にも同社の取り組みを拡大するもので、サポート窓口も一本化されることが顧客のメリットとなるだろう。

 「ある仮想マシンから別の仮想マシンへアプリケーションを稼動させたまま移行できる機能も、もはや特別なものでなくなった。Oracleのほかのツールと統合された管理コンソールと、一本化されたサポート、そして安価なサポート料金がOracle VMの差別化要素だ」とエリソン氏は話す。

 Oracle Enterprise Linuxと最適化され、仮想化に伴うオーバーヘッドを約3分の1に抑え込むほか、4CPUの場合、VMwareと比較して、サポート料金も約3分の2となる499ドルとしている。ちなみにVMwareには5990ドルの値札が付けられている。

Fusion Applicationsへの懸念を払拭

 これまでOracle Fusion Applicationsの開発を指揮してきたジョン・ウーキー氏が同社を去ったことで、開発の遅れを懸念する声がユーザーのあいだから聞こえてきているが、エリソン氏は、「2008年上半期に最初のFusion Applicationをリリースする」と明言した。

 エリソン氏は、次世代製品に対する顧客らの要求として、「移行期には既存アプリケーションと共存できること」や「目に見えるビジネス上のメリットがあること」、そして「試行できるようにSaaSでも提供すること」を求めているとし、Fusion Applicationsはこれらを満たすものになると話した。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆