また、IDC Japanがこのほど発表した国内のASP・SaaS市場の需要動向によると、07年の国内企業におけるASP・SaaSの導入率は5.8%だったものの、今後の利用については前向きに検討している企業が45.6%にのぼり、ASP・SaaSに対する関心が高まっていることを示した。ただし、SaaSは従来のソフトにおけるビジネスモデルを根本的に変えるものだけに、ユーザーにとってもベンダーにとってもメリットがある形でスムーズに移行が進むかどうか、08年はその大きなターニングポイントの年になりそうだ。
さて最後に、07年にめまぐるしい動きをみせたソフト業界の再編について触れておこう。
07年のソフト業界は、4月に米オラクルが企業業績管理(EPM)ソフトの有力ベンダーである米ハイペリオン・ソリューションズを33億ドルで買収したのを皮切りに、10月には独SAPがビジネスインテリジェンス(BI)ソフト大手の仏ビジネス・オブジェクツを68億ドルで買収することを発表(買収取引は08年第1四半期中に完了する予定)。11月には米IBMがBIソフト大手のカナダのコグノスを50億ドルで買収すると発表した(買収取引は08年第1四半期中に完了する予定)。
さらに10月、米オラクルがアプリケーションサーバなどのミドルウェア大手である米BEAシステムズを67億ドルで買収しようとしたが、こちらは成立しなかった。とはいえ、買収対象にのぼったのはいずれも有力ソフトベンダーである。こうした相次ぐ買収劇に、新たなソフト業界再編の予兆を感じた関係者も少なくないようだ。
見方を変えれば、再編をリードするメインプレーヤーも明確になってきた。オラクル、SAP、IBM、それにマイクロソフトとグーグルの5社だ。さらに今後はこうしたメインプレーヤー同士の“大合併”もあり得るかもしれない。そのダイナミックな動きの可能性を秘めているのも08年の特徴といえそうだ。
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明治学院大学 経済学部准教授