とはいえ「昔は良かった、人が育ったと振り返っても仕方がない。今の環境は昔とは違うことを前提に新しい仕掛けを考えるしかない」と、高橋氏は言う。
まずは「縦型の強いリーダーシップではなく、多様性を受け入れるソフトなリーダーシップを発揮することだ。人材も仕事のスタイルも多様化する中で、上下関係ではないところで、人間関係を築く必要がある」
「日本に多い縦型の強いリーダーシップでは、今の多様性には対応できない。晩年に名を汚したリーダーはこれで失敗することがほとんどだ」
次に、仮説検証という学習サイクルの中でチームの中で、多面的なフィードバックを受けられる環境をつくれることだ。現在のリーダーには、仮説検証の中で学習のレベルを引き上げる役割を担うことが求められている。
若手に試練をつくり、どう与え、どうフォローし、どう学習を確認するか――に力を注ぐ必要がある。学習の場のつくり方はリーダーの工夫次第でさまざまにつくれるものだ。
「ある総合電器メーカーは、若手社員に宴会の幹事をやらせている。それだけならよくあることだが、この会社は、参加者を顧客と定義させ、どのようなニーズがあり、限られた予算の中でいかに行うかの計画を事前に提出させている」と、高橋氏。この会社では、さらに宴会後には参加者にアンケートを行い、検証まで実施しているという。
そして、研修を軽視するのも問題だ。日本はOJTで仕事をしながら覚えることばかりを重視してきたが、「学習と実践を組み合わせで人は伸びる」。日本企業は欧米やアジア諸国と比べても研修を極端に軽視しているのが実際。研修時間の差は2、3倍にも及んでいるという。
「仕事をしながら覚えればいいというのは、育成を全部現場に修練させているにすぎない」
リーダーには日常的なマネジメントの中で、人が成長する環境や習慣をいかに生み出せるか、仕掛けの構築力が求められているようだ。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授