優れたITリーダーシップの重要な要素として、ITスタッフやビジネス役員、ベンダーと強力な関係を築く能力、つまり対人スキルがある。中でも、中堅企業に対するIT製品やサービスの売り込みに力を入れるベンダーが増えていることから、ベンダー管理が、特に大事なスキル分野となってきている。
「わたしはベンダーに、『利益率も、コスト構造も、ビジネスモデルもお見通しだ』と言ってクギを刺している」と、ヘルスクエストのCIO、ニック・クリスティアーノ氏は語る。ヘルスクエストは、ニューヨークのハドソンバレーで3つの病院を運営し、年間収入5億2000万ドルを上げている医療機関。
「わたしは、うそをつかれているかどうかも分かる」
コンサルタントとして働いた経験もあるクリスティアーノ氏は、CIOにとってもベンダーにとっても、お互いに自分の考えを率直に話すことが重要だと語る。
「わたしは、われわれが何を期待しているかを説明する。そして、困らせないようにするとベンダーに約束する」と同氏。「わたしは自分の担当領域をきちんと管理していく。彼らにも同じようにやってもらわなければならない」
カナダのトロントに本社を置く年商5億ドルの不動産会社、トライデルのCIOを務めるテッド・モールッチ氏は、「とてつもない」時間をかけて、サプライヤーとの契約を作成しているという。「できるだけ厳密な契約を作るためのチェックリストを持っている」と同氏。
「なるべく争いごとを避けて、円満な関係を保ちたい」
モールッチ氏は、ベンダーとのコミュニケーションにも時間をかけており、彼らから優遇されている。この良好な関係が、最近、同社のネットワークの基幹を担うシスコ製スイッチが故障した際に役立った。「15分も経たないうちに、シスコの担当者が駆けつけてきた」と同氏は振り返る。
「社内ネットワークは完全にダウンしていて、わたしは、問題のスイッチは古いから、もう使えないだろうと思った。ところが、担当者は、故障した旧式部品を1時間以内に発見しただけでなく、その場でスイッチを修理して復旧してくれた」
アワードを受賞した中堅企業のリーダーは皆、自社のITスタッフとの関係を誇りに思っており、スタッフの離職を最小限に抑える力量に特に自信を持っている。人材が不足しているという認識から、これらのリーダーは優秀なスタッフが引き抜かれないように、積極的に機会をとらえて能力開発を実施している。また彼らは、ビジネスサイドと技術サイドのコミュニケーションの促進に当たっている。
ノースショアのクック氏は、14人のITスタッフと1対1の面談を頻繁に行っている。スタッフは面談のために宿題をしなければならない。「わたしは彼らに、技術雑誌の記事を読んで、われわれの業界やノースショアとどのような関連があるかを話しに来てほしい、と頼むようにしている。またわれわれは、結婚、キャリア、トレーニングなど、彼らが考えていることは何でも話題にしている」とクック氏。
「彼らが仕事に打ち込んで、われわれの成功に貢献してくれることが目的だ」
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