次に企業が取り組まなければならない直近のITテーマを挙げる。
「企業提携、合併対応」
システムのスムーズな統合、SCM、PSI、セキュリティ管理、マスター情報の統合(顧客、製品、従業員など)
「労働人口の減少」
スタッフ部門の生産性向上、現場業務支援ツール(EUC)
「海外中心の事業へシフト」
世界中で同レベルのITサポート、共通基盤化、レイヤー化
IT部門も4半期ごとに成果を出さなければならない。事業戦略を支援するシステム開発を短期で行わなければならない。上記の中長期テーマのように経営効果が見えにくいインフラに近い部分にIT投資をしなければならない。どのように経営者の了解を取り付け、リソースを投入するか。将来と現在の課題解決の二兎を追わなければ、負のスパイラルからは抜け出せない。IT部門トップの強い意志と信念がなければ乗り切れないテーマである。
普及した企業の個別最適システムをすべて作り直すことはナンセンスであり、金と時間の無駄である。この課題解決のキーワードは「3R」(Reduce:リデュース、Reuse:リユース、Recycle:リサイクル)である。いかに既存システムを最大限に生かし、変化する機能群(コンテンツ管理、ユーザーインタフェース、ワークフロー、業務フロー、システム間インタフェース)を疎結合化、標準化するかである。
このソリューションを実現した際、各部門でのメリットは次の通りだ。
<経営の視点>
<エンドユーザーの視点>
<IT部門の視点>
企業の業務の流れを描いて、利益を阻害するボトルネックを見つけ、まずは孫の手で利益の最大化を実現する。一方で、着実にIT基盤の構築を3Rのキーワードに基づき進める。これを継続的に進めていくと、成果を挙げながら利益が上がる仕組みづくりが実現できる。電車を走らせながら、駅舎やホームを作り直すイメージに近いのかもしれない。
岡政次(おか まさじ)
ウイングアーク テクノロジーズ株式会社 協創企画推進室
三重県出身1959年生まれ。1977年シャープ株式会社に入社。本社IT部門に在籍、10年強の新人教育、標準化・共通システム化を担当。さらにシステム企画担当として、ホスト撤廃プロジェクト、マスター統合、帳票出力基盤の構築等に携わる。2007年4月、ウイングアークテクノロジーズ株式会社に入社。現在、経営・エンドユーザー・IT部門の「三方一両“得”」になるIT基盤構想を提唱し、「出力HUB化構想」を推進する。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授