国内外からさまざまな試練を受けた2008年の中国経済。世界的な金融危機がはびこる中、自国の経済成長にも陰りが見えると中国政府は予測する。
中国経済は2008年、国内外からの各種の試練を受けた。中国のマクロ経済政策は3回にわたる大きな調整が行われたが、国民経済の健全で安定した状態はほぼ維持された。しかし2009年はどのような形勢を迎えるのか。中央経済工作会議では「成長を保ち、内需を高め、構造を整える」という2009年の基調が確定されている。
中国経済、2009年の展望
1. 国際金融危機は依然として拡散しまん延しており、中国経済への影響はさらに深刻化し、中国経済の成長速度も鈍化すると思われる。
2. 中国のインフレとデフレの圧力には交代と反復の状況が出現する。国内外のさまざまな不良要素の総合的な影響を受け、中国のマクロ経済調整はさらに複雑な局面に直面すると思われる。
3. 中国の株式市場と不動産市場は引き続き大きく揺れ動くことが予想される。不動産価格は低下する可能性が高いと思われる。
4. 金融危機の影響により、中小企業の生き残りはますます厳しくなると思われる。
5. 就職状況は、改革開放以来で最も楽観的でない状況になると思われる。
6. 中国の財政収支は、バランスを取るのがとても難しくなると思われる。
2009年の中国経済に対する中央の見方は楽観的ではない。消費拡大がすぐに効果を上げることのできない状況の下、「成長を保ち、内需を高め、構造を整える」という目標を実現するため、中央のマクロ経済政策は2009年、「積極的な財政政策と穏やかな貨幣政策」という方針を実施していくことになる。
経済の安定と社会情緒の安定をはかること、それが2009年の中国における経済政策の課題となるであろう。
中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は12月27日、改正特許法を可決した。知的財産権保護の徹底を狙い、他人の特許を侵害した場合の罰金を増額。国際競争力を高める理由から、中国での特許出願を経ずに海外に直接出願することも認めた。ただ、中国当局による安全保障上の事前審査を義務付けており、不透明さも残る内容となった。
改正特許法は2009年10月1日から施行される。改正は2000年に続き3回目で、27日に記者会見した国家知識産権局の尹新天広報担当官は改正目的について「創新型国家の建設へ向け、自主創新能力を高める」と説明した。
他人の特許を侵害した場合、現行法では違法所得を没収し、最高で3倍の罰金を課すことができる。改正法は最高罰金額を違法所得の4倍に増額。違法所得がない場合の最高罰金額も現行の5万元(1元=約15円)を20万元に増額するという。
上場企業を含む中国不動産企業10社が、経営再建中の日本の不動産ファンド大手、パシフィックホールディングスに資本参加する方針を固めた。中国の不動産企業は、事実上パシフィックホールディングスを傘下に収めることで日本市場に参入し、投資利益を追求することになる。
日本の不動産市場では急速な信用収縮が起き、資金余力を低下させているが、新たなリスク資金の出し手として中国マネーが浮上してきた。
資本参加を決めたのは香港市場に上場する不動産大手、緑城中国控股公司のほか、寧波華瑞房地産開発公司など非上場9社。パシフィックが2009年2月末に発行する優先株約470億円をいったん国内の受け皿会社が引き受け、その会社に10社が出資する。優先株が普通株に転換されれば、パシフィックの議決権の9割超に相当し、中国側が実質的に経営権を握ることになる。
※この記事は内田総研グループ発行のメールマガジン『士業・net』の一部を加筆・修正し、許可を得て転載しています。
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明治学院大学 経済学部准教授