激動の1年だった2008年を象徴するキーワードといえば「変化」。この言葉をテーマにしたビジネス書籍を取り上げる。
日本漢字能力検定協会が発表した2008年の漢字は「変」だった。この漢字は委員会などが選定するものではなく、投票によって選ばれるものである。「変」の得票率は5%強と低かったとはいえ、これが世の中の感情をよく反映しているのだろう。
ビジネス書は調査や執筆に時間がかかりがちなこともあり、世相を敏感に反映するという傾向はない。翻訳される書籍の場合はなおさらである。とはいえ、読む側の気分で注目したくなる本も変わる。まずは、いろいろと激変のあった2008年に出版されたビジネス書から、「変化」をテーマに3冊をピックアップしてみた。
経済状況が急激にかつ大幅に悪化した現時点では、どの企業も業績悪化の原因を社外に求めているだろう。短期的にはその通りだが、企業の真価が問われるのはこれから。長期的に見れば、この変化に対応していける企業と、残念ながら対応できずに倒れてしまう企業が出てくる。
「自滅する企業 エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病」は、優良企業であるが故に陥りがちな悪習慣についての調査・研究である。どんな悪習慣かは、現実否認症、傲慢症、競合近視眼症など、7つの病名を見れば予測が付くだろう。著者は、危機は立ち直りのきっかけになると指摘している。2009年を社内の習慣病を一掃する好機とするために、読んでおいて損はない。特に大企業の人にお薦めだ。
あまりにも多くのことが大きく変わってしまうと、変化の本質を見失いがち。「ザ・ゴール」を放ったエリヤフ・ゴールドラット氏は、最新刊「ザ・チョイス――複雑さに惑わされるな!」で、「ものごとは、そもそもシンプルである」と断じている。
どのように問題の原因を突き詰めていけばいいのか。その原因をどのように解消していけばいいのか。氏のほかの著作よりは抽象度が高めで、メソドロジーが学べるというよりは問題解決に立ち向かう心得が学べるといった印象だ。物語形式で読みやすく書かれているので、年始の息抜きに読んでみるのもよいのでは。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授