ただし、サーバ集約にしろ、ソフトウェアの更新にせよ、一時的に激しいリストラ投資が必要になります。旧サーバを集約するためには、ブレードサーバなどの新たなハードウェアの購入費用、新たなネットワーク環境といった新規投資が不可欠だからです。中期的にはコストは削減できるかもしれませんが、一時費用は大きくなります。それがいま、会社の中では手をつけにくい状況です。
また周辺の話としてインフラ構築の際は、電気代、大きさ、質量の3つをみますが、必ずしもその3つはリニアに効果が出る関係にはありません。現在は、サーバ性能などが上がり、サイズは小さくなっても、電気代が全然下がらないといった状況などが一例です。かえって、面積当たりの発熱は高まってしまうこともあります。
ITmedia アプリケーションで新しい動きはありますか。
大西 代表例はCAE(Computer Aided Engineering)のところです。技術開発として2つあります。人手を省きたいということで、コンピュータによるシミュレーションをしたいということ、もう1つは自動車製造においてシミュレーションをせざるを得ない新技術が出てきていることです。例えば、FC(燃料電池)技術のように「まだ仮説しかない」という状況では、試作品をつくらずに机上である程度のところまで、仮説の検証をしなくてはなりません。それは、CAEの得意とするところです。
CAEの使用規模はどんどん大きくなっています。ここのところの電気代の増分のうち、半分はCAEによるものと考えて間違いありません。今日本で使われる電気代の5%がIT関係といわれています。それが2020年代には20%になるといわれているのです。だから、ベンダーがグリーンITへの取り組みをアピールするのも、分からなくはありません。
ITmedia 人手の省力化という意味で、CAEはどのくらい効果がありますか。
大西 分野によります。衝突実験のボディ強度の計測、F1の空気抵抗の計算、ハイブリッドの制御のパターンも、CAEでサポートできます。いろいろありますので、一言では言えません。
ITmedia トヨタ自動車の情報システムというと、メインフレームを使いこなしている印象があります。メインフレームへの考え方について改めて教えてください。
大西 生産系については、トヨタウェイ、グローバルトヨタプロダクトというものが現存します。進化するとしても世界で統一した形で進みます。ボディーメーカーやサプライヤーなどがみんな関わっていますので、その垂直統合の部分については今後も残っていくと思います。
ただし、かつてはそれがトヨタ自動車の企業価値とイコールでしたが、今後どう続けられるか。生産性や品質などのトヨタの優位性をしっかり守る一方で、新しい働き方を創出する必要があります。そうしないとレガシーなビジネスモデルを維持するだけになってしまいます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授