【第1話】 悩みとひらめき内山悟志の「IT人材育成物語」(1/2 ページ)

中堅食品メーカーで情報システム部長の任に就く秦野は悩んでいた。システム部門が停滞気味だと感じていたからだ。ところが、新卒社員が配属されたある日、ふと妙案が浮かんだ。

» 2009年04月28日 08時15分 公開
[内山悟志(ITR),ITmedia]

 「どうしたら新しい風を吹き込むことができるのか・・・」、秦野は悩んでいた。秦野は中堅食品メーカー・あかり食品工業で執行役員 情報システム部長の任に就いている。自らが統括する情報システム部が何となく停滞気味だと感じていたのだ。

 確かに、ユーザー部門のサポートやシステムの安定稼働に対する責任を負うシステム部門の現場スタッフは、重圧のわりには社内で正当に評価されていないという不満が鬱積しがちで、モチベーションが低下している。一方で、経営陣からはシステム部が前面に立って業務改革や事業展開のサポートをもっと積極的にやって欲しいと言われ続けている。しかしそう言われても、スリムな本社を目指した間接人員の削減の中で、システム部門の人員は減らされる傾向にあるばかりか、複雑なシステムを運用、保守するだけで手一杯で、業務改革や新規プロジェクトにスタッフをアサインすることも難しくなっているのだ。

若手が育たない!

 何よりも秦野の頭を悩ませているのは、システム部の人口ピラミッド問題である。あかり食品のシステム部には、40名ほどのスタッフが在籍しているが、バブル経済の崩壊後、新卒社員の配属がほとんどなく、40代、50代の古株エンジニアがいまだに最前線でシステム構築や運用を担当している。20代後半から30代のスタッフは、現場のリーダーとして一番活躍して欲しい世代なのだが、人数自体が非常に少なく、いつまでも後輩が入ってこない。そのため、長年タスクワークに追われるだけで、マネジメントスキルが伸びていない。

 数年前からようやく新人が配属されるようになったが、若手は若手ですぐ上の先輩が少なく、見習うべきお手本がいない。先輩、後輩間の年齢差が大きく、どう教えてよいのか、あるいはどう教わればよいのか分からない。システム部門の次世代リーダーの育成が急務だと思いながらも、秦野には解決の糸口がつかめずにいた……。

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