組織文化とは静的に固定されたものではなく、常に動的に変化していくものだ。あまりにも組織全体として一貫性が強く、金太郎あめのように社員が同じように考え行動すると、組織全体が硬直化してしまい、外部環境の変化に適応できない。かつての米IBMが市場よりも社員個人の尊重に重きを置き自社技術を重視した結果、サービス主体の組織への転換に時間がかかったのがよい例だ。
経営グローバル化のステップによっては、同じ組織内でも部門や部署単位で下位文化(サブカルチャー)が異なることもある。例えば米国進出当時のキッコーマンはしょうゆの国内シェアが首位だったため国内部門はおっとりした文化だった。かたや米国の海外部門には挑戦的なベンチャー体質が存在していた。(出所:キッコーマンのグローバル経営、茂木友三郎著を参照)経営グローバル化を進めることでダイバーシティ(多様性)が生まれ、組織改革の機会となる。
注意すべきは、日本人や日本的といった自国文化の優位性をうたってはならないことだ。かつての大手日本企業の社訓では、実際に日本人の優位性をうたっていたのである。事業がグローバル化した現在では修正されているが、国ではなく自社組織のマネジメントシステムを強みにしていくべきである。次回はマネジメントシステムの構築について述べる。
【連載】日本流「チーム型マネジメント」 バックナンバー一覧
岩下仁(いわした ひとし)
バリューアソシエイツインク Value Associates Inc代表。戦略と人のグローバル化を支援する経営コンサルティングファーム。代表は、スペインIE Business School MBA取得、トリリンガルなビジネスコンサルタント。過去に大手コンサルティング会社勤務し戦略・業務案件に従事。専門領域は、海外マネジメント全般(異文化・組織コミュニケーション、組織改革、人材育成)とマーケティング全般(グローバル事業・マーケティング戦略立案、事業監査、企業価値評価、市場競合調査分析)。
現在ITmedia オルタナティブブログで“グローバルインサイト”を執筆中。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授