全世界の企業に向けてアウトソーシングサービスなどを提供するGXSは、世界的な経済危機によって苦戦する企業が多い中、独自の強みを生かして着実に売り上げを伸ばしているという。
世界的な経済危機の発端となったリーマン・ショックから9カ月が過ぎた。世界経済は回復の兆しを見せるものの、いまだ予断は許さない状況にある。多くの企業ではコスト削減を最優先の目標に掲げて、業務プロセスを見直したり、設備や人材への投資を凍結するなどして、不況を乗り切ろうともがき苦しんでいる。
そうした中、「経済危機によってビジネス機会が増えている」と話すのはGXSのアジアパシフィック マーケティングディレクターのジェーン・チェン氏だ。GXSは企業間取引(B2B)のアウトソーシングサービスやサプライチェーンマネジメント(SCM)ソリューションをグローバルで提供するプロバイダー。企業がコスト削減を進めるにあたり同社への期待が高まっているという。「こうした経済環境において、企業はいかにうまくITを活用し、優れたSCMを構築していくかが重要だ」とチェン氏は強調する。
GXSは、世界中の企業との取引で発生する各種情報の処理に不可欠なITシステムの整備を支援しており、ユーザーは全世界で3万5000社に上る。同社のシステムは業界ごとの多岐にわたるデータ標準を吸収し、各企業に合わせたデータフォーマットに自動変換するハブの機能を持つ。同社を経由すれば企業同士がリアルタイムでつながることが可能である。今同社が強みとしているのが金融業界向けサービスで、米国ではリーマン・ショック以降に銀行や証券会社などからの引き合いが増えており、売り上げも順調だという。今後は日本市場でも同分野に注力していく予定だ。
世界的に厳しい経済環境にあっても“ニッポン企業”にはまだまだ底力があります。自らの事業を徹底的に見直し、変革し、今がチャンスと世界に目を向け、攻めに転じ始めている企業も少なくありません。
見直しや変革の対象は、これまで聖域として見られていた「情報システム」にも及んでいることはご存じのとおりです。情報システムをその発想から転換し、さまざまなITサービスを活用することによって、貴重なリソースをより多く本来の事業に振り向けることができます。「何をするべきなのか」「何をやめるべきなのか」を考えることで新たな戦略に向けた力を生み出すことができるでしょう。
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明治学院大学 経済学部准教授