「人脈は重要だ」と考えているビジネスマンは多いが、果たしてどれだけの人が戦略的に人脈を形成しているのだろうか?
ここ数年、「人脈」をテーマにした書籍の出版が相次いでいる。しかも『抜擢される人の人脈力』(東洋経済新報社)、『28歳までに他社からスカウトされる人脈術』(ダイヤモンド社)といった書名が象徴するように、人脈はビジネスの成功には欠かせないリソースだという認識を、現在、多くのビジネスパーソンが共有しているようだ。
しかし、それだけ重要な人脈を戦略的に形成している人がどれだけいるだろうか。あなた自身の人脈を思い浮かべてほしい。それは、あなたが本当に手に入れたかった「価値ある人脈」だろうか。実際には、ビジネス上の短期的な必要性のみでつながっている関係や、深い目的もなく出席した会合から付き合いが始まった「人脈のようなもの」に過ぎないのではないか。
本書の著者は、「同じ価値観を共有でき、かつ、お互いの持っている才能や強みを活かせる人脈」こそが「本当に必要な人脈」なのだと主張する。同時に、それを手に入れるためには、あなたがこれまで行なってきた人脈作りの戦略を変える必要があることも示唆している。
いたずらに人を追いかけ、相手の価値観に合わせて自分をカメレオンのように変化させているうちは、価値ある人脈は到底築けない。自分自身の価値観を磨き、発信し続けることによってのみ、本当に必要な人脈を自分に「引き寄せる」ことが可能になる。
その発信の方法として、著者は夢を描く、自分ブランドを作ることの重要性を説く。自分はどのような形で成功したいのか、自分は他者の成功のためにどんな価値を提供できるのか、それをきちんと伝えることができれば、あなたのもとには自ずから必要な人物が集まってくる。
また、それらの人脈が集うコミュニティーとして勉強会を主催するのも、戦略的な人脈形成には不可欠なポイントだ。著者自身、価値観を同じくする起業家2000人が集まる勉強会を運営することで、価値ある人脈との定期的な交流を可能にしてきた経緯がある。
人々の価値観が多様になった現在、無差別的な「プッシュ型」の人脈形成では多大なリターンは望めない。本書が提唱する戦略的な「プル型」の人脈作りを行なうことで初めて、互いの価値観を共有したWin-Winのネットワークが構築できると言えよう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授