――新しいサービスなどを立ち上げるとき、プロジェクトマネジャーとして河原塚さんが心掛けている点があれば教えてください。
河原塚 大事にしているのは、プロジェクト名を早期に決めることです。どのような価値を提供するプロジェクトなのか、コンセプトを明確にするわけです。例えば、2006年6月に立ち上げたモバイルバンキングのサイトは、開発期間が短かったため適確かつ迅速な作業が求められました。携帯電話の画面サイズなどを考慮し、文章表記を簡潔にすることを心掛け、「われわれが作るのは“男前サイト”だ」という大号令を発したところ、各メンバーが男前かどうかを基準にして考えるようになりました。
プロジェクトは名前を付けてコンセプトを早めに定義してあげた方が参加者は分かりやすいし、軸もぶれなくなります。先ほどお話しした「人生通帳」も名前ができた時点でほぼプロジェクトの方向性が固まりました。
――プロジェクト名などのアイデアはすぐに浮かぶものですか。
河原塚 アイデアが出てこないのは、結局のところ考えが足りないからです。絶えず物事を考えていれば必ず答えは出てきます。このサービスを提供する意味は何か、なぜ今までこのサービスがなかったのか、といった具合に繰り返し自問自答するようにしています。また、インターネット上などにはヒントになる情報があちこちにあるので、見つけたら手帳に書き写しておいて何度も見返しています。
――現在、仕事の中で課題としていることはありますか。
河原塚 ソニー銀行のサービスとほかのサービスとの違いを、いかに分かりやすく世の中に伝えるかがマーケティング上の課題です。
それを実現するためには、提供するコンテンツやサービスがソニー銀行の掲げる「自立した個人のための資産運用銀行」という企業ミッションに従っているかどうかを常に立ち返ることが重要です。Googleでは社員同士が仕事の中で「これってGoogly(グーグルらしさ)かな?」と確認するそうですが、わたしたちもそうありたいと考えています。
ソニー銀行に対しては、ソニーのグループ会社として絶えず新しい価値を提供してくれるという期待と、銀行として堅実かつ信頼できるサービスを提供してくれるという期待があります。ある意味矛盾した期待の中で、適切なバランスを保ちながらソニー銀行らしさを打ち出していく必要があります。
――部下とのコミュニケーションで大切にしていることはありますか。
河原塚 組織のメンバーに対しては、とにかく率直に話すようにしています。最近は他人をしかれない世の中になりつつありますが、わたしは平気でダメ出ししますね。そのせいか、逆にダメ出しされることも多いですけど(笑)。ただし気を付けているのは、人ではなくあくまで企画の中身に対して指摘するようにしています。
誰しも周りからとやかく言われるのは好きではないでしょうが、彼ら自身が成長できるよう、たとえ嫌がられようと関与して企画の方向性を見直したり、ゴールに到達しやすいようにサポートするよう心掛けています。
最近読んだお薦めの本:
中川淳一郎著『ウェブはバカと暇人のもの』
小林弘人著『新世紀メディア論』
ストレス解消法:
過去のことに対してくよくよしないようにしています。何かあっても手帳に色々と書き込むなど、物事をアウトプットして忘れるようにしています。自分の外側で起きている物事はコントロールできないので、それに対して腹を立てても仕方ないのです。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授