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» 2009年10月15日 08時15分 公開

会話力つい踏んでしまうプレゼン失敗の地雷(2/3 ページ)

[中村昭典,ITmedia]

ちゃんと話を聞いてくれたのか?

 Y君は急いで課長にアポを取り訪問しました。Y君に彼はこう告げました。

「社長も提案は一番良かったと言っています。でも、今回当社が解決しなければいけないことは、これじゃないのです。同業他社と同じようにやっては、負けてしまいます。他社が営業スタッフを強化するというのなら、当社は商品開発ができる若手を採用したい。そんな結論になりました」

 がくぜんとしたY君は、課長に詰め寄ります。

「だったら課長、なぜ商品開発者を採用したいと教えてくれなかったんですか」

 課長は困った顔をしてこう答えました。


「わたしは何度もお話したつもりですよ。でもYさんはいつも自信満々で他社の事例などを話し続けてきたじゃないですか。わたしの話をちゃんと聞いてくれてなかったんですか」


 帰路のタクシーの中で、Y君は課長との話を書き留めたメモを読み返してみたそうです。すると、ベテランの営業社員が何人もいて、業界や商品のことをよく知っていることが強みであること、競合と差別化を図るには、新商品の開発がカギであることなどを聞き出していたのです。結局、われわれは上手く提案したつもりになっていただけだったのです。相手の課題をよくつかまないままに、プレゼンのテクニックだけで突っ走ってしまったというわけです。

 プレゼンテーションというのは、相手の課題を解決する作戦を提案することにほかなりません。いかに説得力を持って伝えるか、相手に理解してもらえるように伝えるか。もちろんこれも大事なことですが、その前に、相手の課題を理解していなければ、的確な提案などできるはずがありません。Y君とわたしは、プレゼンの前提である課題把握で重大なミスを犯してしまったというわけです。

 プレゼンにおいて、話す力がものをいう場面は多数あります。これは間違いありません。しかしながら先例のように、プレゼンの内容が相手の課題解決につながらなければ、いくら絶妙なトークができても、それはマスターベーションにほかなりません。Y君とわたしにとっては苦い薬となりました。

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