大相撲やプロ野球は水面下の景気回復を下支え景気探検(2/2 ページ)

» 2009年11月17日 07時45分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,ITmedia]
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巨人、そして大相撲

 毎年夏休みに行われるJR東日本のポケモン・スタンプラリーは山手線エリアから首都圏エリアに拡大された2003年以降参加者は約26〜32万人前後で推移してきたが、今年は21・3万人と低迷した。一方、「ドラゴンクエスト10」は、発売から約2カ月間で400万本も売れた。すれちがい通信機能などが話題になっている。厳しい所得環境下でメリハリをつけた消費をしている事例であろう。

 最近明るいシグナルが点灯した身近なデータの代表格は、大相撲の懸賞本数である。7月の名古屋場所で1年ぶりに前年同場所比で増加に転じ、9月の秋場所でも増加した。懸賞は広告費の代理変数と言える。景気が最悪期を脱し企業も広告費を切詰めるだけの局面から、1本6万円と言われる懸賞を出す余裕が出てきた局面に移行してきたと言えよう。秋場所は千秋楽までに1005本の懸賞がかかり、前年同場所比でプラス29.3%だった。千秋楽結びの白鵬対朝青龍戦には史上2番目に多い50本の懸賞がかかった。

 今年は野球が景気にプラス要因として働いている。最も人気のある球団の巨人がV9(65〜73年)以来のセ・リーグ3連覇を成し遂げた。巨人が好調な理由はベテランに加え、若い力の台頭だ。人気球団の巨人が7年ぶりに日本一を奪回したことで、景気の下支え要因になるはずだ。

 パ・リーグは人気ランキング3位の日本ハムが優勝、人気ランキング2位の楽天と1位ソフトバンクが2位争いをした。人気ランキング上位3球団がそろってAクラスとなった。南海、ヤクルト、阪神、楽天と監督経験24シーズンの野村克也監督の成績はエルニーニョ現象が発生しているシーズン終了時は8回すべてAクラスと良い成績で、今年も楽天球団史上初のAクラスとなった。東北地区を初めとする経済効果が期待される。

 セ・パ両リーグとも人気球団が、クライマックスシリーズに進出したことは景気にプラスである。日本シリーズの対戦カードの人気ランキング合計が2〜5だと景気は拡張局面という経験則があるからだ。今年のプロ野球の展開はまだまだ水準が低いが、回復傾向の日本の景気を下支えしていると言えよう。


著者プロフィール

宅森昭吉(たくもり あきよし)

「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。



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