体内にはフリーラジカルに対して防御機構が備わっています。フリーラジカルを除去する酵素やコエンザイムQ10、αリポ酸などの抗酸化物質などがそれにあたります。抗酸化物質は食品からも摂取できます。健康な人間の身体は内外で発生するフリーラジカルと抗酸化能力がバランスのとれた状態にあるのです。
アンチエイジングドックでは酸化ストレスの指標(バイオマーカー)を測定して、酸化ストレスの程度を評価します。バイオマーカーは酸化によって損傷した遺伝子の一部(8-OHdGと呼ばれる物質)や酸化によって損傷した脂肪の一部(イソプラスタンと呼ばれる物質)などです。酸化ストレスがない状態を100点満点のスコアとして評価しますが、いくつになっても80点以上を保ちたいものです。タバコを1日20本以上吸う人、飲酒量が日本酒換算で1日4合以上の人、極端なやせ型(BMI 18以下)、糖尿病のある人は酸化ストレススコアが70点以下に落ちている可能性があり要注意です。該当する人は抗酸化能力をアップする生活を心掛けましょう。
代表的な抗酸化物質
ビタミンA・C・E(緑黄色野菜・海藻・果実)
コエンザイムQ-10(いわし・サバ)
ポリフェノール類(あずき・赤ワイン)
リコペン(トマト)
カテキン(緑茶)
アスタキサンチン(サケ)
酸化ストレスに対抗するための大原則は、フリーラジカルの発生要因から逃げることです。タバコをやめる、添加物の入った食品を避けるなど地道な努力が大切です。ストレス過剰になると血管がけいれんして血流が不規則なり、フリーラジカルが発生します。ここでもストレス対策が必要です。
次に、抗酸化力を高めることです。適度な有酸素運動は自分自身の抗酸化能力を高めます。「運動するとフリーラジカルが出てしまう…」などと屁理屈を言わないでください。5キロのジョギングで生じるフリーラジカルなど微々たるものです。微量なフリーラジカルの刺激によって身体の抗酸化酵素が活発化され、抗酸化能力が数日間以上も高められるからです。その結果、1週間に生じる酸化傷害の程度は適度な運動を行った人の方が少なくなります。
最後は、抗酸化物質を摂取することです。表1に代表的な抗酸化物質を示しました。緑黄色野菜や海藻、色彩豊かな果実などがいいようです。コエンザイムQ10、αリポ酸、アスタキサンチンなどのサプリメントもありますが、基本は食事から栄養素を取ることです。
米井嘉一(よねい よしかず)
同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター教授
1958年東京生まれ。1986年に慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程を修了後、UCLAに留学。1989年に帰国後、日本鋼管病院内科 人間ドック脳ドック室部長を経て、2005年に同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授就任。現在は同志社大学生命医科学部の教授を兼任し研究に尽力するほか、日本抗加齢医学会の国際担当理事として、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど各国の抗加齢医学会との交流に努める。主な著書に「抗加齢医学入門」(慶應義塾大学出版会)、「アンチエイジングのすすめ」(新潮社)など。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授