情報システム子会社――経営の頼もしい味方か、お荷物か戦略コンサルタントの視点(2/3 ページ)

» 2010年04月13日 15時30分 公開
[鈴木信輝(ローランド・ベルガー),ITmedia]

あいまいになっている存在意義――どう貢献させるのか?

 多くの情報システム子会社はグループ企業の雇用・人事などの「しがらみ」に縛られています。そして売上が100億円未満であり「情報システム業界」の中で存在感が出せる規模ではないという厳しい現実もある中、コストセンターであろうが、プロフィットセンターであろうが、悩ましさを抱えたまま袋小路に入ってしまっているとも言えるでしょう。

 情報システム子会社の経営層のマインドとしても「(特に根拠なく)いつかなんとかなる」「本社の意向次第だから、静観しよう」と漠然と願ったり、諦めたり、といった状況にあるのではないかとも思えます。

 これは情報システム子会社の位置付けが、歴史を経ていつのまにかあいまいなってしまっていることが最大の原因と考えられます。

 先ほどの「お門違いだ」という発言は象徴的です。もともとは機能子会社として設立していた情報システム子会社に、「営業コストがかからないのだから文句を言うな」というのは、いつのまにか情報システム子会社を事業子会社化してしまっていることになります。

 この事態を打開するためには、グループ企業全体を視野に入れた上で、自社の情報システム部門と情報システム子会社がどのように事業へ貢献していくのかを、再定義することが不可欠と言えます。

 実際にこのような検討が活発になされている企業、情報システム子会社も少なくはありませんが、残念なことに、これらの企業が情報システムの構築や活用での良いケースになりえているかというと必ずしもそうとはいえないのが実態です。なぜでしょうか。

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