ネバダ州ラスベガスの「IBM Impact 2010」では、SOAのシステム構築アプローチや業務プロセス改善によってビジネスの「アジリティ」を獲得し、それを競争力につなげている先進企業らがその取り組みを紹介した。
ネバダ州ラスベガスを訪れると、抜けるような青い空を背景に赤茶けた山々と巨大なホテル群のコントラストがとても不思議に感じられる。世界経済の立ち直りを受け、このカジノの街にもようやく活気が戻ってきた。夜になっても目抜き通りの通称「ストリップ」は人通りが絶えず、桁違いに大きなイルミネーションが競い合う。
日本が連休中の現地時間5月3日、ラスベガスのベネチアンホテルでは「IBM Impact 2010」が開幕した。この比較的新しいカジノホテルは、最盛期のCOMDEX Las Vegasが会場の一部として使用していたSands Expoコンベンションセンターを併設している。1990年代にCOMDEXに行かれた方にとっては懐かしいに違いない。
4回目を数えるWebSphereユーザーのための年次カンファレンスは、今年からForbes誌の協力を得て「Business Leadership Forum」も併催し、参加者は過去最高となる6000人に膨れ上がった。ゼネラルセッションや約500のセッションでは、SOAのシステム構築アプローチや業務プロセス改善によってビジネスの「アジリティ」(俊敏さ)を獲得し、それを競争力につなげている先進企業らがその取り組みを紹介した。
早朝からホテルのボールルームで行われたオープニングの基調講演には、IBMのソフトウェア事業を2000年から統括しているスティーブ・ミルズ上級副社長が登場し、顧客やパートナーらに「これまでの10年はビジネスプロセスの統合が求められた時代だったが、次の10年はその最適化による効率性と経済性が地球規模に波及していく時代になる」と話した。
同社は、環境やエネルギー、あるいは食の安全といった地球規模の課題をITによって解決していく「Smarter Planet」(地球を、より賢く、よりスマートに)をコーポレートビジョンとして掲げているが、その基本が先ず企業や政府機関の課題を解決することであることに変わりはない。企業顧客、特にIBMの顧客は、メインフレームやUNIXサーバ、クライアント/サーバ型システム、そしてWebに至るまで、実にさまざまな技術に投資してきており、それらの多くは今も稼働している。既存のIT資産や、その上で稼働しているデータ、プロセスを統合・簡素化し、アジリティと新しい価値を引き出すことが求められている。
カリフォルニア州やコロラド州、ハワイ州などを中心に約870万人の会員をカバーし、17万8000人の医師やスタッフが医療サービスを提供するKaiser Permanenteは、カルテの電子化を皮切りに、よりスマートな医療の提供に取り組んでいる。Kaiser Permanenteの「kp.org」と呼ばれるポータルでは、医師やスタッフが患者の医療情報に即座にアクセスし、必要に応じて連携できるほか、薬剤の処方や診察予約をオンラインで簡単に行ったり、健康の維持を図るさまざまなコンテントやサービスを受けることができるという。
Kaiser Permanenteでe-ビジネス担当副社長を務めるデビッド・ユー氏は、オープニングの基調講演にゲストとして招かれ、「今後はアナリティクスによって病気を予防したり、患者ごとに適切なケア情報を提供することで健康維持を促せるようにしたい」と話した。
同氏は患者のニーズに応えるべくプロセスを改善し、新たな医療サービスを投入できるのはSOAとBPMの恩恵だと言う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授