「ビジネスにさらなるアジリティを」── 業務プロセス改善で競争力を高める米企業IBM Impact 2010 Report(2/3 ページ)

» 2010年05月06日 07時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
Ford Motor Credit Companyのナスバーム氏

 危機に直面している米自動車産業のFord Motor Companyは、「One Ford」を掲げ、全社が一丸となって再生に取り組んでいる。ITの領域でも複雑でばらばらだったビジネスプロセスの簡素化と標準化を図り、アジリティとコスト節約を追求する。世界最大級の自動車ローン会社であるFord Motor Credit Companyの執行副社長、ポール・ナスバーム氏は、基調講演で「BPMは簡素化と標準化のエンジンになっている」と話した。

 同社は、IBMが昨年12月に買収した大手BPMソフトウェアベンダー、Lombardiのユーザーだ。今回のカンファレンスでWebSphereファミリーとして新たに発表された「IBM WebSphere Lombardi Edition」は、人がかかわる一連の仕事を処理するアプリケーションをモデルベースで構築・管理するためのプラットフォームだ。可視化とリアルタイムでプロセスを制御する機能によって、迅速にプロセスアプリケーションを構築できるだけでなく、ビジネスユーザーたちが、企業を取り巻く環境の変化に応じて臨機応変にプロセスを変更できるようにするものだ。

 ビジネスユーザーがPowerPointやWordを使うように簡単にハイレベルのビジネスプロセスを描きながらBPMプロジェクトに参画できるLombardiのツールも「IBM BPM Blueprint」と名を改め、クラウドサービス(SaaS)として提供される。

 このBlueprintはクラウドサービスながら、プロジェクトの成熟度、プロジェクトの説明、プロセスを可視化して改善につなげる「ディスカバリーマップ」、およびプロジェクトのゴールなどがひとつの画面から参照でき、ビジネスユーザーであっても特別なトレーニングの必要はないという。プロセスに関する情報はすべてリポジトリで一元管理されるため、組織全体で共有もしやすい。

業務プロセスは文書化して反復・改善

 そもそも人が関与しながら進められるビジネスプロセスは、企業内に限らず、パートナーや顧客も巻き込んで、あらゆるところに存在する。口座開設、サプライヤーの選定、受注処理、キャンペーン、クレーム処理などが一例だ。

 WebSphereの開発を担当するベス・スミス副社長は、「企業は新しい成長の機会を求め、社内外を問わず絶えず変化したいと願っている。もちろん、同時に顧客のニーズに合わせたカスタム化も求められている。そのためには、現在のビジネスプロセスを把握し、ドキュメント化して反復・改善できるようにすること、社内外に広めること、意思決定を最適化して迅速に変えていけるようにすることが必要になる」と話す。

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