リーダーシップは厳密に定義される――GEが実践するグローバル展開の必須項目スマートな経営のためのラウンドテーブル(2/2 ページ)

» 2010年11月29日 08時00分 公開
[井上健語,ITmedia]
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1.外部志向

2.明確でわかりやすい思考

3.想像力

4.包容力

5.専門性

 Growth Valuesは人事評価でも利用されている。Growth Valuesと業績の2つの軸で構成されるマトリックスで、全従業員が評価されるのである。

 ただし、Growth Valuesは固定しているわけではない。時代が変われば求められるバリューも変わらなければならないという思想のもとに見直しが行われる。世界で最も成功している企業・個人を徹底的に調査し、共通する資質をふるいにかけてバリューを抽出する作業が行われているのである。

 さらにGEでは、経営者だけでなく、現場のマネージャ、一般の従業員にもリーダーシップが求められるという。これにより「私は下の人間なので」という言い訳を絶対に許さない文化が作られるのだ。

 その一方で、リーダーを養成するプログラムも充実している。財務部門や営業・マーケティング部門、IT部門などの部門ごとにリーダー育成プログラムが用意され、社外/社内から毎年50〜100名の参加者があるという。

 講演の最後では、ジェフリー・イメルト会長が「一週間の時間の使い方を教えてほしい」というビジネススクールの学生からの質問に対し「70%はリーダーシップの育成に使っている」と答えたというエピソードを紹介。「リーダーはトップ自らが時間を使って育てなければなりません」(松本氏)と語って、講演を締めくくった。

白熱した質疑応答〜日本的な建前と本音はグローバル化の最大の障壁

 ラウンドテーブル後半の質疑応答では、活発な意見交換が行われた。講演で説明されたリーダー育成プログラムの実施方法に関する質問、人事評価のあり方、あるいはGEが考えるGrowth Valuesの定義方法などに関する質問に対し、松本氏が回答あるいは参加者と議論を展開する時間となった。

 例えば、Growth Valuesについて、参加者の1人から「日本では創業者の言葉や考え方が、企業にとっての不変の価値として受け継がれることが多いが、GEではそういうことはないのか」という質問が出た。

 これに対して、松本氏は「GEでは文書に書かれているもの以外は存在しない」として、明文化されていない価値をはっきりと否定。さらに、別の質問者からの「そうはいっても、建前と本音があるのではないか」という質問に対しては「日本的な建前と本音は、グローバル化の最大の障壁」と答えるなど、日米の文化的な違いにまで踏み込んだ議論が展開され、グローバル化を目指す日本企業にとっては、非常に刺激的かつ有意義な時間となった。

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