ドラッカーそしてマネジメントが求められた理由「もしドラ」作者が語る(3/4 ページ)

» 2010年12月27日 08時00分 公開
[大西高弘,ITmedia]

「もしドラ」の読者たちが直面した現実

 インターネットに代表されるような情報化の大きな波が起こったことによって、組織のガバナンスを変えざるを得ない局面を迎えたといえる。そこで多くの人が求めたものがマネジメントだったのだ。そして『もしドラ』を読み、改めてドラッカーの著作に触れる人たちが続々と出てきたのだろう。

 岩崎氏は、『もしドラ』の読者たちが目の当たりにした日本で起こった出来事について次のように語る。

 「つい最近、われわれは政権交代を体験しました。と同時に政権が変わってもこの国の状況は何も変わらない、ということも目の当たりにしたのです。『もしドラ』の読者の方々の多くも『もう、政治になんか期待できない。自分たちが変わるしかないんだ』という考えを持たれたのではないか。こうした政治のもたらすインパクトが弱まっていることもマネジメントについて考え、ドラッカーを勉強しようという発想に至る要因になっているのではないでしょうか」

 ドラッカーの『マネジメント』は、1930年代の米国の経営者をモデルに書かれていると岩崎氏は説明する。1930年代と言えば、1929年に始まった世界恐慌が猛威を振るった年代であると同時に、従業員が数万人以上の規模となる大企業が生まれた時代であり、多くの失業者が出た時代であった。

 「1人の資本家が統治する組織ではなく、雇われ社長が巨大な組織を統治する時代になりました。そこで、雇われ社長たちがまず何を行ったか。かれらは自分たちが統治する正当性を見いだそうとしたのです。ただ単に利益を出すことだけでは正当性を主張することはできない。そこで企業の社会的責任、働く人たちの能力を生かすための努力などについて言及した。それらを持って企業のトップは組織を統治する正当性を獲得したのです」(岩崎氏)

 時代が変わり、組織の成り立ちが変わり、ガバナンスも変容せざるを得なくなったわけだ。そして大量生産方式によって、供給過剰の市場が生まれ、失業者の大量の発生によって、人心はすさんでいた。岩崎氏はこの時代と今の時代を交互に見合わせて考えることが多いという。

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