「日本向け」が品質の裏付けになるタイ・宝石産業に学ぶ女流コンサルタント、アジアを歩く(2/3 ページ)

» 2010年12月28日 08時00分 公開
[辻 佳子(デロイト トーマツ コンサルティング),ITmedia]

タイの宝石産業を取り巻く環境

加工業務中の従業員

 well field社の伊原 浩氏はタイで宝石産業に携わるようになって28年になるという。この間、タイの宝石産業を取り巻く環境も変化した。かつては、タイでもルビーやサファイアが採掘されていたが、現在ではもう採れなくなっている。今では、ミャンマーからルビー、スリランカからサファイア、ロシアやアフリカからダイヤが、タイに持ち込まれ、それらを加工して世界の市場に運ばれるのである。

 先述の通り、かつては、日本向けの加工製造が中心に事業を進めてきたが、現在ではヨーロッパ向けが増えた。オーダー数で言えば、日本向けとヨーロッパ向けはほぼ同数だが、日本向けはシルバーが多く、ヨーロッパ向けはゴールドや宝石が多いため、取引金額は大きく異なるそうだ。ヨーロッパ向けは全体の6割弱の金額を占め、今や最重要市場となっている。

加工業務の様子

 ヨーロッパとのビジネス形態としては、欧州のラグジュアリーブランドからデザイナーがタイの工場に派遣され、指定されたデザインの下で製造している。わたしが工場視察した際も、製造にかかわる指導がデザイナーから行われていた。

 なお、タイ国内の市場に対しては、日本ブランドとして独自のラインアップで販売している。現在、タイ国内で53店舗・4ブランドを有しており、2013年には100店舗・4-6ブランドに展開していく計画だそうだ。日本市場に対しては、ブランド指定デザインの製造、プライベートブランドの展開などを行っている。

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