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» 2011年01月06日 08時00分 公開

グローバル企業で働く人材に求められるスペック点検 あなたは日本を出ても活躍できるか(4/4 ページ)

[山本利彦,ITmedia]
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 2番目のNo dictionaryですが、一語一訳は役に立たないとも言い換えることができます。どうしても辞書をひきたければ英英辞典を使い、語感を学ぶことを優先してほしいと思います。一語一訳の逐語訳はビジネス英語では不要と思います。最後のmany feed backはやはりnative speakerなどから添削のお直しをしてもらうと効率が良いということです。

 最後に、先ほどの某外資系メーカーの日本支社長のJob Descriptionの最後尾に申し訳程度に下記のような記述がありました。

  • Fluent in local language and good command of English language (note: local language is key and willing to sacrifice on English at expense of meeting above criteria)

 簡単に翻訳するとローカル言語ができることと英語ができること、ただしローカル言語の能力を優先するとあります。

 これを見て何かピンとくることはないでしょうか。わたしはこれを読んだ時にすぐさま、このポジションは外国人(日本人以外)でも良いというメッセージだなと思いました。なぜなら英語の能力だけでなく、むしろローカル言語の能力を先に述べているからです。採用の際、日本人に対し日本語ができることという条件をつける企業はありませんから、外国人が応募することも想定しているのです。

 この例は2つの重要な意味を示唆しています。

1.日本支社長のポジションであっても採用する側の外資系企業は必ずしも日本人であることを想定していない

2.場合によっては日本語能力が英語力より優先される

 特に1は重要です。

 初めて日本事務所を開く外資系企業の日本支社長ポジションといえでも、日本語が流暢な外国籍のビジネスパーソンが外部から招へいされる可能性があるということです。少なくともこの外資系企業は国籍のことは気にしていません。(よく知られているとおり米国では面接の際に国籍、年齢、性別などを質問することは法的に禁止されているので、この手の書類に国籍が問われることはそもそもありませんが)もし、あなたの勤務する企業がある日突然外資系企業に買収されたとしたら、このような事態が起こる可能性は低くありません。

 言い古された話ですが国際的なM&Aが頻繁に行われる近年のグローバル競争時代では、英語を習得することはこの例をみてもMUSTというしかないでしょう。さらに理解していただきたいのは、A4サイズ2枚にわたるこのJob Descriptionの中で言葉に関する条件に割かれたスペースはわずかこの3行だけということです。つまり刺身のつま程度に最後にさらっと書かれているだけなのです。このことからも英語ができることは前提条件でしかないということです。

 今さらそんなこと言わなくても分かっているよといった声も聞こえてきそうですが今回はまず採用の現場という生の場面の実例を示し、それを実感していただくためにあえて自明のことをお話させていただきました。

 今後、世界的な規模でのM&Aがさらに活発になる可能性もあります。そのとき上記の日本支社長のポジションすら日本人でない状況では我々は今後世界中の競争者から仕事を奪われ仕事からあぶれてしまう可能性がないとはいえません。

 このコラムでは日系企業、外資系企業の両方で勤務したわたし自身の経験を踏まえ、数回に分けて、いわゆるグローバル時代において今後日本のビジネスパーソンのキャリア構築の方向性を示してみたいと思います。その際、巷にあふれる超一流のキャリアを持つ著名経営者、コンサルタント、識者が述べるいわゆる「べき論」だけにとどめず、できるだけ実用的な内容にしたいと考えております。

 今回は英語を軸に議論を展開しましたが、次回は前述のJob Descriptionにある他のスペックにも着目し、わたしなりの考えを述べたいと思っております。お付き合いいただければありがたいです。

著者プロフィール

山本利彦

大学時代に1年間豪州、ニュージーランドで遊学。1987年総合商社 日商岩井(株)(現 双日(株))に入社。主に砂糖、コーヒーなどの食品原料などを取り扱う。29歳で日商岩井の英国法人に赴任、5年半駐在。駐在時代に海外大手穀物メジャーとの取引でグローバルビジネスの厳しさを肌で経験。2000年日系大手ゲームソフト会社に転じ海外事業部長を務める。2002年(株)ソニー・ピクチャーズエンタテイメントに入社。企画管理部長、事業開発部長などを歴任した後、独立、Forward Internationalを設立、同社代表。日本企業の海外事業支援、エンターテインメント企業の海外進出サポートなどのコンサルティング業務を手がける。大阪府立大学経済学部卒。豪州ボンド大学MBA、NLPマスタープラクティショナー、ビジネスコーチ。


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