「アウトソーシング」、今や広く一般的に企業が競争力を高めるために、業務の一部(または大半)を外部に委託することであることは誰でも知っていることです。日本に住む我々が今まで体験してきたアウトソーシングは、海外の安い労働力に依存し、日本人が本来持ち得る技術力の低下を招き「産業の空洞化」という事態に陥った原因ともなりました。確かに、それによって消費者はより低価格で製品やサービスを受けることができるという代価を手に入れたことも事実です。
しかし、本書では「アウトソーシング」=「サービスシフト」とは、それとはまったく異なる発想でとらえ、グローバルな意味で「アウトソーシング」がもたらすものがどのように人に対して良い影響を与えているのかと言うことが言及されています。
「サービスシフト(サービスの移転)」とは、コールセンターや平凡なビジネス・プロセスを米国から他国へ送ることだけではありません。製造や低価格サービスの国外へのアウトソーシングに続いて、価値の高いサービスにも海外移転の波が押し寄せています。サービスの海外移転の波は大きく、さらに大きくなりつつあるため、経営者は海外移転のことを理解し、準備しなければなりません。サービスのグローバル化とは単にコストを削減することや、高い品質を獲得すること、そして業務を基礎から再構築することだけではありません。これを基盤に、次に記す5つの力によって海外移転の波は引き起こされています。
1.テクノロジーの革新――インターネットアクセスの拡大およびデジタル化を含む
2.市場成長―発展途上国がより多くのサービスを提供している
3.世界的マクロ経済の自由化―より多くの国が国際ビジネスを容認している
4.コスト削減および質の向上の必要性―海外移転によって、生産性および質の向上につなげる事ができる
5.世界的ビジネス文化―「欧米のマネジメント」および英語が普及している
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授