アウトソーシングを考える上で役に立つのは、ハーバード大学教授のマイケル・ポーターの価値連鎖の理論と、ノーベル賞受賞者の経済学者ロナルト・コースの取引費用がいかに企業の競争力に影響を与えるかに関する理論です。ポーターの分析によると、競争力は2つの要素から生まれるとされています。それは、コストの優位性と市場の差別化です。
ポーターは、企業は自社の競争上の優位性を生み出すことに集中的に努力しながらも、中心的ではない業務をアウトソーシング――多くの場合、国外ベンダーへの委託――するべきだと論理的に主張しています。よって、企業は競争上の優位性を得ることのできない機能に大きな投資をしてはいけません。これが、清掃業や外食産業以外の企業が、清掃や食堂サービスを以前からアウトソーシングしている理由の1つです。
コースによる「取引費用経済学(TCE)」の分析とそれに続くオリバー・ウィリアムソンのその測定基準の開発では、3種類の費用を強調しています。それは、必要な情報を見つけるための費用、交渉する費用、そして契約を結んだ相手の会社がきちんと業務をこなしてくれることを確認する費用です。コースとウィリアムソンの分析は、企業が成功するには戦略よりも費用管理が重要であることを示しています。それと同時に、海外移転は、企業の業績および競争力において重要な要素になり得ることを論理的に意味しています。
アウトソーシングにおいて「企業にとっての中心業務以外の業務は委託することが大切であり、それに関わる経費に対して厳しい管理が必要」ということを解説しています。無理や無駄をなくし、本当に必要なこと、つまり、「情報」「交渉」「業務管理」これらの3つに対しての費用が重要であり、それらが企業を支える重要な役割を果たすということなのです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授