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» 2011年02月25日 15時00分 公開

日本と日本企業を元気づけるキーワード ――ワーク・ライフバランスとダイバーシティNTTDATA Innovation Conference 2011レポート(3/4 ページ)

[宍戸周夫,ITmedia]

NTTデータがグローバル企業になる条件

 小室氏に続き、スピーカーはNTTデータの榎本隆副社長に交代。同社がダイバーシティに取り組む背景を紹介した。その最大の理由は、NTTデータ自身のグローバル化だったという。

 「当社は88年にNTTから分社した会社ですが、今はグループ合わせて約1.2兆円の企業に成長しました。その原動力は何かを考えたとき、当社のコアコンピタンスは人材につきるとの結論に至りました。当社は工場もなく、特別な資産もありません。社員一人一人がこの数字を作り上げてきたのです」

 しかし、この成長を継続するためには、国内市場だけでは限界がある。ということで、同社は現在、グローバル市場に軸足を移している。

 「超ドメスティックな会社と思われていますが、急速にグローバルに舵取りしています。日本は人口減少時代に入りマーケットの成長には限界があります。内需だけでは成長はありません。またお客さまも海外展開を進めており、これに合わせる形で当社もグローバル化を推進しています。そこで、ダイバーシティに取り組んでいるわけです。グローバル化によって、性別はもちろん、いろいろなカルチャー、宗教を持つ社員と仕事をしていかなければなりません。こうした多様な社員が知恵と力を結集し、戦っていかなければならないからです」

 現在、同社の連結社員数は5万人を超える。うち日本人は約3万人、外国人が約2万人で、全社員の約40%が外国人ということになる。海外拠点も30カ国128都市に上っている。これだけ多様な人材を抱えるNTTデータは、これまでどのような社員研修を行ってきたのだろうか。その疑問に対し榎本氏は、グローバルなITサービス企業に比べてまだまだ社員研修はおぼつかないと述懐する。

 「IT業界は4K、5K職場といわれるほど厳しい状況にありますが、かつては社員研修も含めて人材投資が十分だったとはいえませんでした。仕事が忙しすぎて、社員研修を提案しても現場からは反発を受けるような状況にありました」

しかしその状況を破壊するため、トップが強引に社員研修を進めた。ITサービスのNo.1企業になるためには社員が元気良く働ける会社作りが必要だと考えたのだ。

 まず、社員満足度(ES)の調査から始めた。「顧客満足度(CS)と社員満足度の相関関係を調べたのですが、CSは上がってもESはなかなか上がらないことが分かりました。CSが上がっても、社員自身は長時間労働や自分の評価に納得していなかったのです。さらに、ESの低い職場ほどCSも低いという相関関係も明らかになりました」そこでNTTデータが取り組んだのがダイバーシティ・マネジメントだった。榎本氏は「それによって、現在はESの高い職場がCSの高い職場になっています」という。

 同時に、NTTデータも自身も事業シフトに取り組んでいる。具体的には、サービスやソフトにシフトしている。「伝統的な労働主役型のSIから、社員自身が自ら考えて付加価値のあるサービスを提供する事業主体に変わっていかなければならない」という思いがあるからだ。そのためには「金太郎飴のような社員ではなく、みんなで自由に発想できる会社にしていかなければならない」ということで、この事業シフトでもワーク・ライフバランスやダイバーシティへの取り組みは重要だ。

 実際、2010年3月期の事業別売上比率を見ると、SIが65%でトップ。続いてITサービス(30%)、ソフト(5%)となっている。これを当面、SIの比率を50%に下げ、ITサービスを40%、ソフトを10%に上げていく計画だ。そのためには「お客さまの多様化している要望に応えていかなければならない」となり、「まだまだ女性の立場は弱い。みんなが力を発揮できるような組織にしなければならない」となる。

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