ITmedia セキュリティを含めた端末の管理について、どのような考慮が必要になりますか?
針生 iPadのセキュリティについては、遠隔からのロックや消去などの仕組みが利用できるようになっており、向上しています。しかし、現段階では端末の認証はパスワードのみであり、USBやメモリーカードなど外部認証機器への接続ができません。最も問題になると考えられるケースは、企業のディレクトや既存のPC環境のセキュリティ製品とほとんど互換性がないことです。個別に維持しようとすれば、安全性のレベルの保持が難しくなると考えられます。
iPadのシステム更新は、これまでの管理および配信方法では難しいといえます。ハードウェアやソフトウェアのインベントリ管理などはあまり考慮されていないからです。個人利用であれば問題が起きませんが、組織として多数のiPad端末を更新、管理するのは難しいといえます。仮想環境も一括で管理できるようにしないといけません。こうした課題が意識されていることから、今後の機能拡張の動向によって、Android端末が企業端末としては伸びてくる可能性も大いにあります。
ただし、iPadはかなり速いスピードで機能拡張しています。システム用端末として利用を検討する企業も増えています。今後は、導入アプリケーションのインベントリ管理などの拡張機能の登場や、その導入事例などに注目するべきです。
メリット
・起動が速い
・PCよりもバッテリーが長持ち
・動画、シミュレーションなど、ビジュアル面での訴求力がある
・ユーザーインタフェースがなじみやすい
・地図の表示など、魅力的なコンシューマーアプリケーションがある
・拡大、縮小などの操作が簡単
・迅速なレスポンスが可能
・先進的なイメージ
課題
・利用コンテンツによってはセキュリティの懸念がある
・対応しているビジネスアプリケーションが限定されている
・プラットフォームの安定性が確保できない
・基幹系アプリケーションの開発が困難なケースが多い
・企業端末としての管理方法が確立されていない
・コンテンツ作成には向かない
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授