オンライン上での交流を望むコミュニティは、参加者に健全なプロフィールを作るよう勧めることから始める必要があります。プロフィールには実在する人間の情報を書き込み、写真、勤務地、コミュニティへの参加歴を入力して下さい。また、オンラインコミュニティの中で参加者がブログを書けるようにすることで、さらに影響を広めることができます。
適切にデザインされたオンラインコミュニティは、その価値を素早く実証することができます。例えば、新しく採用された従業員は、オンラインコミュニティ上で同じような経歴を持つ従業員とつながりを持つことで、足場を築くことができます。また、オンラインコミュニティは参加者全員に、専門知識を共有したり、他の人の専門知識を素早く確認したりする機会を与えます。自分には分からない言葉を使う業務が与えられてしまいましたか?それなら、オンラインコミュニティのプロフィールをチェックして下さい。問題を抱えている、あるいは壁にぶつかってしまいましたか?それなら、オンラインコミュニティ上で質問し、コミュニティの誰かが答えてくれるのを待っていて下さい。新しいつながりが生まれて来ます。
セーバー・ホールディングスのオンラインコミュニティであるセーバー・タウンは「予測モデリング・ソフトウエア」を使用し、社内で発生した問題と、その答えを知っている可能性の最も高い従業員を結び付けています。このオンライン・ネットワークの導入初年、同社は50万ドルの費用を節約することができました。
ベストバイ社はブルーシャツ・ネーションというセーバー・タウンと同じようなコミュニティを運営しています。従業員はこのオンラインコミュニティを介し、協力してアイディアを生み出しています。また、2000年、ノキア社はジャズ・カフェという「ディスカッション・フォーラム」を立ち上げました。そこでは全ての従業員が自由に人事部に質問をすることができます。このサイトは、企業内で最も人気のあるウェブサイトとなり、今日も引き続き活動しています。
オンラインコミュニティを使うことで、すでに社内に存在するさまざまな知識を発見、分類、有効利用することができます。オンラインコミュニティに参加すること、あるいは維持することによる見えにくい影響には次のようなものが考えられます。
1、考える余地を得る――自分の行動についてオンラインコミュニティを更新するには、今やっていることを一旦止めて、それを概念化しなければなりません。共有することでアイディアを具体化することができます。
2、人間関係の土台を作る――実際に顔を合わせる前に、オンライン上で知り合っておくことで人間関係を築くことができます。初めて顔を合わせる時は、オンライン上で中断した話から始められます。
3、新しいテクノロジーを使って貴重な経験を得る――オンラインコミュニティに参加すると、顧客との交流に役立つ特定のツールに関する専門知識を得ることができます。
オンラインコミュニティに参加することで人は注意散漫になったり、あるいは非生産的になったりすると考えている人がいます。しかし、実際、オンライン上で注意散漫になりやすい人は、現実の世界でも注意散漫になりやすいです。また、新しい仲間やアイディアを求めるためにソーシャルメディアを生産的に使用している従業員は、旧世代のツール(電子メールや電話)も同じように活用していた人達です。批判的な目でソーシャルメディアを見るのではなく、従業員の生産性に厳しく目を光らせるようにして下さい。
オンラインコミュニティを健全に使う方法は確かにここで言及されているように、利用者のプロフィールを嘘偽りなく記載するということから始まるわけです。ネットにおける現在の一番の問題点は、身分不詳の不特定多数の人間が存在することで、さまざまな犯罪の温床になっているということです。
実際には目に見えない相手とのコミュニケーションですから、信頼性を築くという意味においても必修のことでしょう。身分を明確にするということは自らの発した情報にも責任を持つようになりますので、誤った情報の氾濫抑止にもつながりコミュニティの中に信頼性と健全性を構築できます。
もしあなたがTELUS(バンクーバーを拠点とする通信会社)の従業員だった場合、仕事中に問題にぶつかってしまったら、会社の「メディア・シェアリング」を活用することができるかもしれません。なぜかと言うと、問題を収めた短いビデオをネットワークを通じて投稿すると、違った物の見方を持った同僚から情報が返って来るからです。同社はこのビデオにタグを付けたり、アーカイブに入れたりして、後日使用することがあります。例えばトレーニング用教材として。
メディア・シェアリングは階級を無くす事ができます。例えば、もし誰もがビデオを投稿することができれば、誰でも会社を良くする手助けができます。もしTELUSのように、どの従業員のビデオでもトレーニングに使えるのなら、誰でもトレーナーになることができます。また、管理職に付く人間のビジョンを広めることにも使えます。経営者はビデオを使って、全国あるいは国をまたがって従業員に向かってスピーチをする事もできます。
しかし、同僚と非公式なビデオを共有するとなれば、いくつか危険信号が点滅します。もし不適切な内容が流れてしまったらどうなるのでしょう?幸いにも、オンラインコミュニティには、豊富で素早いフィードバック・ループが備わっています。人を侮辱するような内容が投稿されれば、それについてのフィードバックを見ることができます。評価には、メディア・シェアリング・プラットフォームのバックエンド分析を確認して下さい。ビジターそれぞれの行動を観察し、投稿されたビデオが持つ、あるいは持たない影響力を理解することができます。
メディア・シェアリングとは情報共有の1つの方法です。ガラス越しの社内環境を作るという意味においても有効活用できるということです。いわゆるビデオを使った方法ですから情報発信者の姿を視覚でとらえることができるわけで、それによって信頼性も増すでしょう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授