心の師匠を持とう田中淳子のあっぱれ上司!(2/2 ページ)

» 2012年06月26日 08時00分 公開
[田中淳子,ITmedia]
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進化し続ける自分であれ

 部下や後輩たちは、上司や先輩が「成長している」かどうかを案外よく見ている。「成長しようと努力しているか」をじっくり観察しているものだ。

 ずいぶん前のことだけれど、20代のエンジニアが30代後半の上司のことをこんな風に言っていた。「うちのマネジャーって、勉強しているのかな? 技術という意味ではなくて、マネジメントとかリーダーシップとか。本を読むとか研修参加するとか、人脈作るとか。要するにマネジャーやリーダーとして、自己研さんしているんだろうか」

 部下は自分の上司をリスペクトしたい。リスペクトする要因は数々あれど、「上司は常に進化していて追いつけない存在だと思えること」は大事な要素である。

 現場の経験を積んでいくことが、1番のマネジャー/リーダー修行だと思うかもしれない。確かに現場での経験は1番の学びのチャンスであることは否定しない。けれども、経験をより高度な学びとし、より一層成長するためには、自分と関わってくれる他者の存在が欠かせない。他者が鏡になって、自分を客観視するための“内省”を手助けしてくれるからだ。

 マネジャーが「ボクには心の師匠がいてね、いろんな薫陶を受けているんだ」「私には師と仰ぐ人がいて、さまざまなことを教えていただいたり、ときには叱られたりもしているのよ」と言っていたら、部下はとてもうれしいし、安心できる。

 「上司だって常に進化している。自分の在り方を見直し、軌道修正に余念がない。上司がそうやって前を向いているのだから、未熟な自分はもっともっと学んで、成長しなければ!」と上司の背中を見て感じ入ると思うのである。

 部下には「学べ、成長しろ」と言うけれど、そういう自分は学んでいるのか、成長しているのか、胸に手を当てて考えてみる必要がある。そんなとき“心の師匠”はマネジャーの孤独を癒やし、学びを支援してくれる存在となるだろう。

著者プロフィール:田中淳子

 田中淳子

グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。


著書「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)、「はじめての後輩指導」(日本経団連出版)、「コミュニケーションのびっくり箱」(日経BPストア)など。ブログ:「田中淳子の“大人の学び”支援隊!


Facebook/Twitterともに、TanakaLaJunko


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