外科手術中に執刀医がPC画面をジェスチャー操作できるようにする医療支援システムをニチイ学館が発売。「手術室でKinectを活用するシステムの商用化は世界初」という。
ニチイ学館は10月1日、日本マイクロソフトと医療機関向け事業で提携し、外科手術中の執刀医がKinectを使って“何にも手を触れることなく”PC画面を操作できるようにする医療支援システム「Opect」を発売した。
マイクロソフトのセンサーデバイス「Kinect」の活用で、PCをジェスチャー操作できるようにするシステム。執刀医が術中に滅菌器具を外したり他のスタッフに指示することなく患者の情報を閲覧できるため、衛生面の向上や診療業務の効率化などに役立つとしている。
新システムはマイクロソフトと東京女子医科大が共同開発し、ニチイ学館は販売と導入支援を担当する。日本マイクロソフトの織田浩義執行役によれば、Kinectを患者のリハビリなどに活用する実験はこれまで各国で行われてきたものの「手術室でKinectを活用するシステムの商用化は世界初」という。
東京女子医科大は新システムを半年前から先行導入し、既に脳外科手術などで使用している。同大の丸山隆志 脳神経外科講師は「見たいと思った時に自分のアクションで画面を拡大したり縮小したり、病理の画像を送ったりできるので、術者が思うようにさまざまな情報を閲覧できる」と話している。
価格は49万8000円。ニチイ学館は手術件数の多い医療機関向けに同システムを売り込み、発売後2年間で3億円の売り上げを見込む。
ニチイ学館はこのほか、マイクロソフトのクラウド型オフィススイート「Office 365」やパブリッククラウドサービス「Windows Azure」などを活用した医療機関向けクラウド型グループウェアを12月下旬に発売する。予定価格は初期費用が31万5000円、システム管理費用が1万500円/月から。
同社の齊藤正俊社長は、マイクロソフトとの提携について「医療機関を取り巻く経営悪化や医療提供者の不足、地域医療連携のニーズの高まりといった課題の解決は“ITの力”なくしては実現できない。当社はもともとマンパワーで事業を進めてきたが、医療機関の分野にもITパワーが必要になった」と説明する。
同社は今後もマイクロソフト製品を活用した医療機関向けサービスを開発・販売し、2016年までに累計75億円の売り上げを目指す。
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