なぜこのようにイノベーションを繰り返すことができるのでしょうか。同社の林野宏社長に伺ったところ、「成功するかどうかなんて、やってみないと分かりません。とにかく新しいことにトライし続けるのが大切です。中には真似されるものもありますが、真似されないものは結果的に競争優位につながっているのです」とおっしゃっていました。
また、トップダウンでアイデアを出すだけではなく、現場の社員からもアイデアを引き出すような組織作りを行ったそうです。ここで重要なのは、出てきたアイデアをとにかく試すということです。そうした仕組みがなければ、次第に社員はアイデアを出さなくなるし、考えなくなります。これは戦略的な投資であり、経営者が決めなければなりません。こうした判断ができるか否かで、その後、組織がポジティブなサイクルに入るか、ネガティブなサイクルに陥るかに分岐していきます。
クレディセゾンの素晴らしいところは、新しいサービスを相次いで投入しているのに、オペレーションコストは低く抑えている点です。具体的には、クレジットカードの申請受付や審査にかかわる部分をシステム化するなど、サービスの裏側をITが支えているということが大きいのです。
以上のようなクレディセゾンの取り組みは、業種や規模を問わず、他の企業も見習うべき点が多いはずです。1つ目は、ターゲット顧客の選び方です。先行する同業他社が見向きもしていない顧客に対し、本腰を入れて取り込んでいくことが、後に大きな競争優位になる可能性を秘めているということです。
2つ目は、ここだと決めたら、業界の常識を持ち込まず、素直に顧客のために良いこと、便利なことを追求して、サービスなどの形にしていくことです。しつこいくらい、徹底的にコミットメントすることが、結果的に他社との差異につながっていくのです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授