逆張りの自前主義でデジタル専門店ナンバーワンを目指すノジマITmedia エグゼクティブ CIO インタビュー 2013(2/2 ページ)

» 2013年08月01日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 野島氏は、IT戦略事業部長としても自前主義を掲げ、「内製率の向上」を追求する。今年から本格稼働する基幹業務システムも多くはいちから開発した。

 「小売業は、店頭の販売員やアルバイトが多いビジネス。情報システムは、会社のフレームワークであり、タブレットやスマートフォンからだれでも簡単に使えるものでなければならない。そのためには、現場をよく理解した情報システム部門が自ら開発・運用を主導していく必要がある」と野島氏。

 同社では、本部系社員が月に一度は現場で業務に携わることになっている。20名を擁する情報システム部門も例外ではない。入社時から絶えず接点を切らさず現場から学ぶことで、単に事業部門の話を聞くだけでなく、全社視点でより良い提案を行える人材が育つ。プロジェクトマネジャーも若い20代、30代が主体だという。

攻めのITへ優れた人材の確保・育成に力を注ぐ

 野島氏が情報システム部門の今年の重点施策として掲げるのは、以下の2つだ。

  1. 守りから攻めに転じる
  2. 優れた人材の確保と育成

 基幹業務システムの刷新にメドをつけたことで、それまで手いっぱいだった運用の負荷を軽減、運用担当者を半分に減らし、余力を企画・開発プロジェクトに回せるようになった。新しいシステムは、現場のユーザーの使い勝手も大幅に改善しており、例えば、以前は1時間掛かっていたレジ締めもわずか15分で済ませられるようになったという。

 「店頭の社員やアルバイトにはできる限り無駄な業務をさせず、顧客対応に集中してもらいたい。店舗と顧客があってのシステム。顧客に必要とされるものを優先して開発していきたい」と野島氏。

 今年からケータイやスマートフォンでクーポンやポイントを管理できる新しいサービスが本格稼働したほか、大型商品の配送や工事もきちんと手配できるようシステムの拡充も図っていきたいという。

 また今年は、物流業務の効率化にも力を注ぐ。物流センターでのピッキング、検品、梱包といった作業を機器の導入によって効率化を図ろうというものだ。

独自のアジア戦略、来夏にはカンボジアに1号店

 基幹業務システムの刷新で余力を企画・開発に回せるようになったとはいえ、約20名の陣容では優れた人材の確保が欠かせないし、入社後の成長も求められる。

 「20名というのは流通では比較的多い方だが、企画・開発からデータセンターの運用、さらには店舗に至るまで、ネットワークも含めてすべて自前で行っているため、人材がカギを握る」と野島氏。

 ノジマでは増え続ける案件をこなすべく、中国でのオフショア開発も進めてきたが、しばしばプロジェクトが難航したという。多くの日本企業が人件費の高騰や反日感情の高まりなどから「チャイナ・プラス・ワン」戦略を取り始めたが、同社もベトナムのハノイに新たに開発センターを自前で開設し、現地の優れた人材を確保しようと試行錯誤する。

 また、ノジマは7月中旬、カンボジアでの子会社設立とベトナムの大手家電量販店、チャンアインデジタルワールドとの資本業務提携を相次いで発表、独自のアジア戦略を打ち出した。ハノイを地盤とするチャンアインデジタルワールドに店舗運営のノウハウを提供する一方、ノジマも現地家電量販店ならではの経営ノウハウや東南アジア市場について実地に学ぶ。来年の夏には、日本の家電量販店では初となるカンボジア・プノンペンの1号店オープンが控えている。徹底した自前主義と現場に学ぶノウハウや経験が大いに生きるはずだ。

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