情報システム部門の在り方は企業ごとに千差万別だが、関東を地盤とする大手家電量販店のノジマは、デジタル専門店ナンバーワン、さらには独自のアジア戦略を視野に入れ、逆張りの徹底した自前主義を貫く。IT戦略事業部長を務める野島亮司執行役に話を聞いた。
情報システム部門の在り方は、企業ごとに千差万別だが、傾向としては、企業経営の考え方と同様、差別化を生むコアの業務に集中し、そうでない業務は外部のパートナーに任せる企業が増えている。景気が思わしくなかったり、成長が頭打ちの業界ではなおさらだが、テクノロジーが競争力の源泉となりつつある中、企業はそれを自社のビジネスに生かしていく能力をどのように強化していけばいいのか。
このインタビュー連載では、企業のデジタル化を牽引し、その競争力向上に取り組むCIOに話を聞いていく。
浮き沈みが激しい家電量販店業界にあって、ひときわ異彩を放つのが、神奈川県横浜市に本社を置く創業50年のノジマだ。
地デジ移行と家電エコポイントによる特需の反動で家電不況が続く中、家電量販店業界は、最大手のヤマダ電機が昨年、ベスト電器を傘下に収めるなど、上位グループでは規模を追求した業界再編が進む。関東を中心に200店舗以上を展開、売り上げは約2000億円で堂々のトップ10入りするノジマだが、最大手のヤマダと比較すれば、約10分の1に過ぎない。売り上げ規模では大きく引き離されているが、「デジタル専門店」を標榜し、デジタル家電については、一番早く、親切に、そして分かりやすく紹介する「デジタル一番星」を目指す。
「単にシェアではなく、デジタル家電の伸び率でナンバーワンを目指している。われわれの買い場(同社では売り場をこう呼ぶ)は、家電メーカーの説明員(ヘルパー)を受け入れていない。冷蔵庫、エアコン、洗濯機といった大型家電製品もデジタル化が進み、確かに説明も難しくなっているが、ノジマでは自社の店員が顧客のニーズを詳しく聞き、より中立的な立場で最良の商品を薦めることができる」と話すのは執行役IT戦略事業部長を務める野島亮司氏だ。
こうした自前主義を貫くには人材の確保が欠かせない。大半の企業が採用を絞る中にあっても、同社はここ数年、350人から400人規模の新卒採用を継続している。
「ノジマのビジネスには、優れた人と商品が欠かせない。プライベートブランド商品を拡充する一方、経営者マインドを備え、4Kテレビなら価格にふさわしい良さを自らの言葉で説明でき、スマートフォンなら新しい文化を理解してもらえるよう説明できる人を積極的に採用してきた」と野島氏。頭打ちの家電量販店業界において、まさに逆張りの戦略だ。
その自前主義は、物流の要である商品センターも例外ではなく、倉庫そのものは借りているものの、倉庫内の運用はノジマの社員が行い、一部のトラックも社員がドライバーとして配送業務にあたっているというから驚く。
創業家のひとりである野島氏は、約10年前からEコマース事業である「nojima-online」の責任者を務め、2年前からは基幹業務システム刷新を担った。店舗と言っても、ノジマにもいわゆる家電量販店型の総合店舗やキャリア別の携帯電話専門店、併売型の携帯電話専門店などがあり、それぞれ異なる基幹業務システムを使っていた。野島氏は、これらの基幹業務システムと製品マスター、および回線インフラを統合、コスト削減を実現する。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授