将来を期待できる vs できない職場 その分かれ目は?社員が自律的に成長し続ける組織の創り方(2/2 ページ)

» 2014年01月22日 08時00分 公開
[上林周平(シェイク),ITmedia]
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成長期待を得られやすい周りからの支援とは何か

 こちらも先ほどと同様に「職場での育成」に関する32の支援の実施状況と「これからこの職場で、自分が満足できるほど成長できると感じている」という回答に関連性があるかどうかを見ると、以下のような結果になる。

1位:成長の魅力を伝える(ストレッチ支援)

2位:失敗/成功経験を伝える(アドバイス支援)

3位:叱咤激励している(ハゲマシ支援)

4位:失敗を恐れさせない(ストレッチ支援)

5位:失敗から学ばせる(ストレッチ支援)

 成長の魅力や失敗そして成功体験をしっかりと伝える。失敗を恐れさせないように後押しをすることが、今後の成長期待につながっている。

 以前、ある会社の育成担当者向けのプログラムを支援したのだが、その会社では具体的な育成スキルの獲得よりも、自分の部署の魅力や過去の職場でのドラマチックなエピソード、自分自身の仕事に対する想いを洗い出し、整理することを徹底していた。そして、それを職場で若手社員に語るのが育成担当者の一番の役割だと位置づけていた。自律的な人材を育てることを標榜しているその会社では、まずは魅力や仕事に対する想いを伝えることで、若手社員本人の自発性を引き出そうとしている。結果、それが低い離職率と強い組織づくりのベースになっており、改めて語ることの重要性を感じるところである。

 一方で、魅力を感じたとしても、メンバーが一歩踏み出せないことはある。変化が激しく、高度化する仕事において、前例があまりない仕事をすることも多くなっている中、分かってはいるが、どこか失敗したくないというブレーキをかける人も多い。そのような時に、「君ならできるよ」「自分が責任を取るから」というような激励をしているかどうか。そして、マネジャー自身も日々失敗を恐れない行動をみせているかどうか。こういった、失敗を恐れさせない後押しが大事なのである。それらの支援がメンバーのチャレンジにつながり、結果的にメンバーの今後への成長期待にもつながるのだ。

自信が持て将来を期待できる職場とそうでない職場の違い

 本人にしっかりとフィードバックし、成長の魅力や失敗、成功体験をしっかりと伝えること。そして、失敗を恐れさせないように後押しをすること。これらは「自信が持て将来を期待できる職場」であるために必要なことである。

 一方で、それらはマネジャー自身としては、やっているつもりになりがちである。なぜならば、少しは行動をしていることであり、自分のことは甘く見てしまうからだ。しかし、最も大事なことはメンバーに伝わっているかどうかなのである。自信が持て将来を期待できる職場とそうでない職場の違いは、前述のような支援を行い、そしてメンバーにしっかりと伝わっているかどうかなのだ。改めて、自分の職場はどうなのかを振り返って欲しい。

 今回は、本人が成長していると実感したり、この職場でもっと成長できると思ったりするためには、どのような支援が必要なのかという点についてまとめた。次回は、メンバーが前向きに行動する職場になるにはどのような支援が必要なのかという観点から考えていきたい。

著者プロフィール

上林 周平

株式会社シェイク 取締役

大阪大学人間科学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。主に業務変革などのコンサルティング業務に携わる。2002年シェイク入社。各種コンサルティング業務と並行し、人材育成事業の立ち上げに従事。その後、商品開発責任者として、新入社員から若手・中堅層、管理職層までの各種育成プログラムを開発。また、2004年からはファシリテーターとして登壇し、新入社員から若手・中堅層、管理職層まで育成に携わった人数は1万人を超える。2011年9月より取締役就任。


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