90日プランで見える結果をすぐに出す「初速思考」ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

どんどん行動するような「走れるだけのタイプ」でも、思考をめぐらしてプランを練り上げる「考えるだけのタイプ」でも頭打ちになる。初速を出すための3つのフェーズとは?

» 2015年01月08日 08時00分 公開
[金田博之,ITmedia]
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世界的IT企業の副社長に学んだ90日で結果を出す「初速思考」

初速思考 30代で一気に突き抜ける人の集中戦略

 4半期で結果を求められることは、外資系企業や日本企業を問わず一般化してきた。この重圧やプレッシャーをはねのけ、より高い成果を手中に収めたいと考える人が多いのではないだろうか? そこで参考にしてもらいたいのが「初速思考」のエッセンスだ。

 「初速思考」とは、見える結果をすぐに出すための思考法と行動法のことだ。

 私が外資系ソフトウェア企業で副社長補佐だったときにボスから教わったことのひとつが、「優秀なヤツは初速が速い」だった。彼がほかの経営幹部と話していたのは、どんどん行動するような「走れるだけのタイプ」でも、思考をめぐらしてプランを練り上げる「考えるだけのタイプ」でも頭打ちになるということだった。初速を出すためには、走りながら考えることが不可欠だ。

 彼がマネジメントに集中できるようサポートする過程で、その思考を必死に自分にも取り入れた。その経験のおかげで、新たな営業組織の立ち上げ、組織改革、新しいビジネスモデルの導入など、さまざまな仕事を担当し、それなりの成果を上げることができた。

 この「初速思考」は、ハードな競争のなかでの戦ってきた私の根幹をなすものだと言える。

PDCAをしっかり回すだけで「上位2%のリーダー」になれる

 初速思考のポイントは3つに集約される。「PDCAのPよりもC(振り返り)に注力すること」「振り返るときには“成功を反省”すること」「それを一気に展開すること」の3つだ。

 PDCAというと「何を今さら」と思う人もいるだろうが、よく考えてほしい。なぜこれほどにPDCAの重要性が説かれ続けるのか? それはPDCAを徹底して回転させている人が少ないからにほかならない。裏返せば、PDCAを確実に回し、それをさらに高速で回すだけで、上位2%のハイパフォーマーになることも可能である。

 PDCAをないがしろにしているせいで、多くの人が自らの時間と経験を垂れ流しにしてしまっているように私には見える。「振り返りをする時間がない」のではなく、「振り返りをしないから時間がない」のだ。私の出会ってきたグローバルで活躍する第一級のビジネスパーソンは、例外なく、振り返りの価値を重視している。

成功体験を「1日1行」でもよいから記録する

 PDCAで最も重要なのは、Cの振り返りだと私は考えている。Cは、直近の行動という事実と、それによってもたらされた結果について検証する方法だからだ。これをもとに、いかに次の行動に結びつけるかが重要だ。

 多くの人は、振り返るときには、失敗を反省してしまうものだが、成功を反省することを意識してもらいたい。成功事例から成功要因を見出して展開させることによって、その後の行動に再現性がもたらされるからだ。

 振り返りの内容を短時間で記録するための工夫が、30字〜40字ぐらいでうまくいったことを記録する「1行記録術」だ。私はA5のシステム手帳に手書きで記録している。デジタルかアナログかはあまり大きな問題ではない。それよりも、いつでも参照できる状態であることが重要だ。1行の記録なら、時間の合間にできるので習慣化しやすい。記録することに一所懸命になって何ページも記録する人がいるのだが、あくまで「仕事における再現性を高めるための手段」であることを忘れないでほしい。これは1行であっても十分に事足りる。

再現性を生み出すフレームワーク「STAR」

 再現性を確実に担保するために、さらに活用してもらいたい振り返りのフレームワークがSTARだ。

 STARとは、状況(Situation)、課題(Task)、行動(Action)、結果(Result)のことだ。欧米では、経営幹部向けの採用インタビューなどでよく使われているフレームワークだ。STARをそれぞれ徹底的に深く掘り下げて質問をすることによって、自社でも再現性をもって行動できる人物かどうかを見極めるときに重宝されている。

 私はあらゆる場面でこのフレームワークを徹底的に使い倒している。ふだんの業務においても、それぞれ1行で整理すれば、成功要因を見いだしやすくなる。そして、それを再現、展開していく筋道が見えるようになる。

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