上昇意欲が高くプライベートを犠牲にしてプレゼン術を磨いたり、資格を取得するなど日々努力を怠らない。でも「見た目」の影響力を見逃していないだろうか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
上昇意欲が高い人ほど「出世したい」と感じています。プライベートを犠牲にしてプレゼン術を磨いたり、資格を取得するなど日々努力を怠りません。それなのに、「見た目」で仕事の成果が左右するなんて、少し残念な気がするかもしれません。そうはいっても見逃せないのが「見た目」なのです。
例えば、血色が悪い顔で「任せてください!」と言われても、大切なプロジェクトを任せる気になるでしょうか? 猫背で「この企画は自信があります」と言われても、周囲は引きつけられるでしょうか? メタボで「健康体なのでこの会社で長く働けます」とアピールできるでしょうか?
私は経営コンサルティング会社に所属しており、多くのエグゼクティブを見てきましたが見た目を気にしないという人はいませんでした。どうも、普通の人以上に気をつかっているのです。「私は、ただものではない」口で言わなくても全身からそう伝わってきます。前を通りすぎればつい目で追ってしまいますし、ついついその人をお手本にまねしたくなります。周囲を虜にしてしまうのです。
この書籍では、「見た目を整える→心身のコンディションが整う→仕事のパフォーマンスがアップする」という、健康と美容の知識を融合させ、仕事のパフォーマンスを高める方法を提供しています。肌+4要素(お腹・姿勢・目力・髪)といった自分自身の見た目を改善するためにどうしたらよいか、「今日からできる行動プラン」を紹介しています。
もしあなたがすごい実力を持っていても、見た目をおろそかにしているせいで評価が低けれれば、悔しくありませんか? また、仕事の出来がイマイチな部下に対し、「処理スピードを速くするように」や「結論から述べるように」など仕事については指導するが、見た目に対して指導をしていないのではないですか? 見た目と仕事のパフォーマンスというのは繋がっているので、部下の見た目の指導も大切なのです。
話しよりも見た目が大切であると証明した出来事があります。第35代大統領選の「ジョン・F・ケネディ」と「リチャード・ニクソン」の戦いです。劣勢だったケネディがテレビ討論会によってニクソンに勝ったのです。それは、見た目の影響が大きかったともいわれています。
ニクソンは見た目をおろそかにして討論会に臨み、テレビを見ている人々は「ニクソンは病弱」という印象を抱きました。一方で、ケネディは色の濃いスーツを身に付け、肌にファンデーションをしっかり塗りました。討論をラジオで聴いていた人はニクソンが大統領にふさわしいと評価したが、テレビを見ていた人々はケネディこそ大統領にふさわしいと評価し、大統領に当選したのです。
このように、見た目が相手に与える影響は結果を覆すのです。
一般的に見た目が良いとはイケメンのことを言いますが、ビジネスパーソンの場合は違います。イケメンでもやる気が無いように見えたり、信頼できないように見える人はいますよね。「信頼」「誠実」「活気」が伝わるような見た目が、ビジネスパーソンでいう見た目が良いということになります。
まずは上司であるあなたから見た目を整えることです。それが部署全体に広がり、企業全体まで行届けば企業のイメージがよくなるのです。
ベーシックな身だしなみは最低限必要です。お客さまや取引先は「○○業界はこうあってほしい」というイメージを持っています。たとえば、銀行員なら品のある格好をしていてほしい。ファッション業界なら指先までオシャレであってほしいなどです。この「こうあってほしい」というイメージから外れると、信頼が築けないこともありリスクが高くなります。ファッション業界の人がジャケットにジーンズでもうなずけますが、そんな銀行員に接客されれば不安になるはずです。
ベーシック身だしなみとして挙げられるものは、職業に相応しい格好をする、服のシワをのばしておく、ワイシャツの第一ボタンを留める、ネクタイを真っ直ぐ締める、髪が邪魔にならないようにセットをしておく、爪は短く切る、鼻毛・髭の処理などです。
部下への指導では、「身だしなみ」という言葉を使うとソフトな雰囲気になり、改善しやすくなります。また、あの部下はお洒落だから大丈夫だろうと思い込まないようにしましょう。お洒落を意識するがあまりビジネスマナーに反する格好をしていることもあるため、確認が必要になります。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授