もし自社サイトでの売上を本気で目指すのであれば、最重要項目は一つに収れんされる。自社サイトでの売上は図Dの式で表される。
この式は3つの構成要素により売上が作られるということを意味する。何人の人がそのサイトを訪れ(UU)、その内の何人が購入まで踏み切り(CVR)、その人たちは一人当たりいくら位購入したのか(AOV) ということだ。
この3つの指標はいずれも重要だと外部コンサルタントは言うかもしれない。しかしビジネス感覚をきちんともった人間なら分かるはずだ。CVR。これこそが最重要指標である。コントロールしやすいUUを追及しCVRを疎かにしてはいけない。まずやるべきはCVRの高いページを作ることにある。極端な話、マーケティング投資をかければサイトへの訪問者数は急激に増える。しかしもし低いCVRのまま、大量のUUを流しこんだらそれは消費者がどのような体験をすることを意味するのであろうか。
目に付いた魅力的なキャッチフレーズに引かれ、広告をクリックし、自社サイトへやってきたカスタマー。しかしそこで目にするのは魅力的な商品がなく( もしくはそもそも商品そのものが少ない)、ページデザインも時代遅れで検索結果は的外れ、購入に到るまでの道のりも煩雑で無駄に個人情報を入力させられ、決済方法も一部しか対応していない、心のこもっていない未完成なサイトだ。それにより、貴重な消費者へのダイレクトなコンタクトポイントが大きな危険にさらされることになる。しかも、いつもあれだけ商品・サービスに心血を注ぎ、世界最高の品質を職人気質に追求する人たちが、ことデジタル領域ではそのあまりにも拙い幼稚な「サイト」という商品をカスタマーに提供していることに全く気づかず、外部に丸投げ、指摘されてもぴんとこないという状況に陥ってしまっていることもままある。
繰り返しになるが、CVR。これが本質であり、本質的な販売サイトとしての質の総合指標になる。デジタル領域での送客はリアルよりもずっと簡単だ。わざわざ足を運ばなくても指を少し動かしタッチ( もしくはクリック) すればそれで目的の場所にいける。しかし、勝負はそこからだ。玉石混交のサイトに日々莫大な数触れているカスタマーの目は肥えている。この領域のトッププレイヤーは科学的なテストと検証の莫大な繰り返しテストに基づき、訪問したカスタマーにとって最適な構成のサイトへ何千通りものバリエーションの中から自動で選択して(ページレイアウトなどを個々に変えて) 変化させている。よほどCVRへ注力しなければ質の低い素人「商品」だとカスタマーから判断されるのも、うべなるかなだ。
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明治学院大学 経済学部准教授