なぜオープンハウスの都心戸建て住宅は飛ぶように売れるのか?ポーター賞企業に学ぶ、ライバルに差をつける競争戦略(2/4 ページ)

» 2017年05月22日 07時00分 公開
[伏見学ITmedia]

荒井: 創業時はなかったです。普通よりも良ければいいと思っていましたし、働くのは収入を得るためで、それを手にしたら働く必要はないという考えでした。

 それが35歳くらいから変わりました。理由は社長の責任として、従業員を幸せにしないといけないと思うようになったからです。例えば、22〜23歳の若者が入社してきても、会社が大きくならなければ、彼らはずっと同じポジションのままなわけです。

 その後、会社を大きくすることは、自分たちの力だけで大きくなるのではなく、社会から必要とされるから大きくなるのだという考えを持ちました。だから社会に足りないところを満たすような会社になるべきで、そうした商品を提供していく必要があると思いました。基本的な考え方はそこからぶれていません。

大薗: 都心の一戸建てという着眼点は最初から変わっていないのですか?

荒井: はい、顧客が望む場所に戸建てを作ったら、一番売れるだろうという確信はありました。かつては郊外の庭付きの一軒家が好まれた時代がありましたが、社会はどんどん変わってきていて、今は通勤に時間をかけるのは愚かだと言われるようになりました。

 また、リーマンショック以降は、夫婦共働きのダブルインカムが当たり前になっていて、世帯年収は上がっています。すると職場にも近くて、生活しやすい都心に住みたいというニーズは高まっているのです。実際、当社はリーマン後から急成長しています。

 リーマン直後の2008年10月に、目黒で不動産を販売したところ飛ぶように売れました。史上最大の金融危機と騒がれている最中にもかかわらずです。それで確信して積極展開を図りました。リーマン前だったら家賃が月に20万円の家に住んでいる人が買う場合、住宅ローンも月20万円が相場でしたが、リーマン後はそれが6〜7割、つまり12〜14万円の支払いだったら買うだろうと考え、そうした物件をどんどん作って販売しました。競合他社は当時、そうした考えはなかったのです。

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