プラットフォーマーとして、IoTで何かやりたい人の「触媒」になりたい――ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏長谷川秀樹のIT酒場放浪記(1/4 ページ)

2015年にIoTプラットフォーム「SORACOM」をリリースしたソラコムの代表取締役社長 玉川憲氏。前職であるAWSでの経験や起業家としての思い、IoTの未来を見据えたビジネスビジョンとは。

» 2018年09月30日 07時00分 公開
[やつづかえりITmedia]
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この記事は、「HANDS LAB BLOG(ハンズラボブログ)」の「長谷川秀樹のIT酒場放浪記」に2016年4月4日に掲載された記事を転載、編集しています。記事中のソラコムのサービスは当時のものになります。最新情報はこちらから。


 ハンズラボCEOの長谷川秀樹が、エンタープライズ系エンジニアが元気に働ける方法を探し、IT業界のさまざまな人と酒を酌み交わしながら語り合う本対談。

 今回のゲストは、AWS(Amazon Web Services)のエヴァンジェリストから起業家に転身し、2015年9月にIoT向け通信サービス「SORACOM」をリリースしたソラコムの代表取締役社長 玉川憲氏です。このシリーズでは珍しい子育て論からスタートし、AWSでの経験と起業家としての思いまで、幅広い話題で盛り上がりました。

小学生の子どもの成績は気にならない。伸ばすべきは運動、音楽、英語の感覚

長谷川: 今日はソラコムやIoTの話ももちろん伺いますが、まずは玉川さんの子育て論について聞きたいと思います。今、お子さんは?

玉川: 3人います。8歳、6歳、3歳で、男、女、女。

Photo ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏

長谷川: ちょっとドギツイこと聞きたいんですけど、玉川さんは東京大学卒業じゃない? 東京大学に行った人って、子どもも東大に行ってほしいと思うんですかね?

玉川: 難しい質問ですね。僕の場合、親から言われることなく、自分自身が入りたくて一生懸命勉強して入った、という気持ちがあるので、子どもも頑張って東大に行きたいというならそれもいいと思うし、別に東大じゃなくてもいいです。

長谷川: なるほど。僕のまわりは幼稚園のときからお受験させるような親か、もっとおおらかに育てていこうという親か、どっちかに振れている人が多いように思うんですけど、玉川さんはどちらかというとおおらかに育てたいということですね。

玉川: 僕はおおらか派ですね。今、小学生の2人は公立に行ってます。

長谷川: 仮に、玉川さんの子どもがいつもテストで20人中18番目くらいだったら、どうします?

玉川: 僕は気にしないです。小学校の勉強なんて、いくらでも取り返しがつくじゃないですか。今の幼児の時に一番気にしてるのは、運動と音楽です。神経の発達的に、そこが一番伸びる時期なので。父親としては身体を動かして遊ぶことと、音楽とかそっちの脳を使う活動を重視していて、丸覚えの勉強とかそういうのはどうでもいいかなと思っています。

長谷川: なるほどね。うちの子は、幼稚園の同年齢の子たちの中で、数字を読めるようになるのが一番遅かったんですよ。でも嫁はそのことをあまり気にしていないみたいだったんですね。僕はそれまで、嫁は教育ママになるんだろうと思っていたんで、それが驚きだったんです。「あれ、意外とおおらかだったのか?」と。

 ところが、ある人に言われてその認識は間違いだと気づいたんですよね。ある意味おおらかなのかもしれないけど、「幸せに生きてくれれば、勉強なんていいわ〜」みたいなおおらかとは違って、「うちの子は最後は確実に“まくる”(攻めに転じる)から、今は関係ない」という絶対的な、意味のない自信があったの(笑)

玉川: (笑)

 でも、その肯定感、意味のない自信を与えてあげるというのも大事ですよね。

長谷川: まあね。嫁は英語がすごく好きで、子どもにも英語を教えているんですけど、「最近やっと子どもが、自分から英語に興味を持って勉強する気になってきた」と喜んでます。

玉川: 僕も、英語は重要だと思ってます。さっき言った運動や音楽と同じで、幼児期の発達を考えると英語は早くやっておいた方がいいと。日本語だけやっていると、周波数がフィルタリングされるようになって、英語の子音の音が聞こえなくなるらしいんですよ。子音の周波数が限られる日本語特有の性質なのですが。耳の能力がつけられるのって、10歳か12〜3歳くらいまでだそうです。

 僕なんかは、大学院まで英語を話す外国人に会ったこともなかったので、30歳前くらいに英語を猛勉強したけど、どうやったって耳の能力は回復しない。そうすると子音の音の違いを文脈から判断しなければいけないので、ただ聞き取るためだけに脳のパワーを余計に使うんですよ。

 同じ苦労はさせたくないので、長男には週2回、Skype英会話をやらせてます。勉強っぽいのじゃなくて、ギルバート先生というすごい明るいフィリピン人の先生とチャットして終わり、みたいな感じですけど。

長谷川: うちの子もSkype英会話やってますよ。子どもって読めなくても耳で聞くだけで全部覚えられるから、すごいですよね。

玉川: コミュニケーションという意味では、読み書きから入るんじゃなくて、あいさつからや、「今日の気分はどう?」みたいなカジュアルなやりとりができることの方が大事で、あとは音が聞き取れるかということだから、楽しんでおしゃべりできればいいですよね。

年に1度、夫婦で子供の教育について話し合う

玉川: 奥さんと教育に対する考え方にギャップがあるとけっこう苦労すると気づいて、「子どもにこうなってほしい」という期待値を夫婦で話し合って、書き出すようにしてるんです。長男はこうなってほしいとか、3人それぞれに。4〜5年くらい前から始めて、1年に1回、正月に見直しているんですけど、それがけっこういいんですよ。

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長谷川: そうなんですか。書き初めみたいに、あらためてちゃんと書くというのは珍しいね。

玉川: 書き出すと違いが分かるので、それですり合わせができるんです。これなんですけど。

長谷川: おぉ、すげぇ!

Photo 玉川家の子どもの教育に関するメモ

玉川: これをやってみて「僕たちちょっと古いかもね」と気づいたのが、男の子と女の子に対する期待が違うんですよね。いいことなのか悪いことなのか分からないんですけど、男の子にはたくましさを求めるし、女の子には清潔感を求める、というようなところがあるんです。

長谷川: なるほどね。

玉川: 解答がないですよね、子育てって。「これやったら、こうなる」というものではなくて、親以外の、景気や文化や宗教など、いろいろな要素も絡んでくるし、しかも18歳とか20歳になってみないと、よかったかどうか分からないですからね。

長谷川: 子どもの友達なんか見てると、小2でも子どもってこんなに性格違うんやと思いますよね。それを一律の教育でやるのは難しいですよね。

玉川: 本当に、みんな違いますよね。社会が豊かになったんだとしたら、そういうのをもっと微調整できるというか、それぞれのギフトをいい方向に伸ばせるようになった方がいい。そこは技術でも助けられる可能性がありますよね。

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