ビジネスパーソンはセオリーを学べビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

現場の経験も大切だが同じくらい大切なのは、セオリーをキチンと理解することだ。

» 2019年05月23日 07時37分 公開
[永井孝尚ITmedia]
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『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』

 「多くの日本のビジネスパーソンは、圧倒的に勉強不足」というのは、マーケティングのプロとして『100円のコーラを1000円で売る方法』(シリーズ60万部)、『これいったいどうやったら売れるんですか?』(10万部)などのベストセラーを手掛けてきた永井孝尚さんだ。『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)を出版した永井さんに、話を聞いた。

勉強不足を自覚していない日本のビジネスパーソン

 本書の冒頭、お叱りをいただくことを覚悟で、こんな文章を書きました。

 「多くの日本のビジネスパーソンは、圧倒的に勉強不足である」

 おそらく反発も多いでしょう。世の常識は「日本人は勤勉」だからです。でも現実には、その常識は大きな間違いです。

 私はIBMで海外ビジネスパーソンとよく一緒に仕事をしました。「ビジネススキルこそ自分の武器」と考える彼らは、普通にMBA(経営学修士)を得ています。経営理論は「読み書きそろばん」。仕事の基本スキルなのです。「これはあの〇〇理論に基づいた戦略だ」と言うと、すぐに通じました。そしてセオリーに沿って、現実に即した戦略を合理的に議論しました。

 日本国内では、これがほとんど通じないのです。経営理論は「机上の空論」であり、現実の仕事では役立たないと思われています。だから体系的に学ぶ人が少ないのが現実です。いまだに、海外留学を終えたMBA修了生に「MBAの垢を落としてこい」とドブ板営業をさせる会社もあるくらいです。

 確かに現場の経験も大切です。でも同じくらい大切なのは、セオリーをキチンと理解することです。多くの日本人は自らの勉強不足をキチンと認識せずに、「自分たちは勤勉だ」と考え、真面目にハードワークをしているのです。

 スポーツの世界ではすでに過度な精神論や根性論は見直されており、セオリーも重視されています。1970年代に中学や高校の運動部にいた人たちは、ウサギ跳びをさせられたり、「水を飲まずに頑張れ」と言われたりし続けた記憶があるのではないでしょうか?今は医学的な観点で、ウサギ跳びは下半身を痛めるだけと分かって禁止されていますし、スポーツ時のマメな給水も奨励されています。

 セオリーを無視し、現場の経験と精神論を過度に重視する日本企業は、「ウサギ跳びで勝てる」と考えていた1970年代の運動部と同じなのです。

セオリーを学ぶには?

 セオリーを学ぶ近道があります。海外MBAエリートが読むような時代を超えて読み継がれるビジネス書をしっかりと読み込み理解することです。そういう本からはビジネスの普遍的な思想や理論を学べるし、困ったときの指針にもなります。

 でも現実には「そんな本、読んだこともない」という会社員も多いのが現実でもあります。そもそも何を読めばよいか分からないし、分かってもハードルが高いし、加えて、忙しくて時間もありません。一方で海外MBAエリートは、既にそれらを仕事で活用しています。

 そこで海外MBAエリートたちの必読書50冊を1冊にまとめたのが本書です。「海外MBAエリートの必読書」を100冊以上選んだ上で、「日本のビジネスパーソンにも最低限これだけは理解してほしい」という基準で50冊に絞り込みました。実は涙をのんで割愛した本もたくさんありました。かなり厳選しています。(なお専門性が高い会計・財務分野は除外しています。また理解を深めるために日本人著者の本も一部入れました)

 本書で重視したのは「仕事でどう生かせるか」「分かりやすさ」「面白さ」の3点です。ビジネスパーソンにとって大切なのは、「要は、仕事でどう役に立つか」だからです。

 50冊の中には難解な本もありますが、本質を徹底的に追求した上で1冊あたり3〜5分で仕事に役立つポイントをつかめるようにした上で、身近な事例と仕事への指針も追記しています。

 さらに読書のインプットを最大化し、理解を深め、視野を広げるコツは、複数の本に横串を通して読むことです。そこで50冊を次の6カテゴリーに分けて、本文内で互いに関連しあう箇所も参照するようにしています。

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