この仮説に対するモデルは、以下のとおり。
仮説を検証した結果を淺羽氏は、次のように語る。「(1)企業規模の仮説では、大企業の新製品は、全ての規模の企業が水平に模倣しますが、対角線に模倣されるという結果は、はっきりとは現れませんでした。一方、(2)出身産業の仮説では、同じ出身産業のバラエティ製品ほど対角線に模倣されやすいという結果になっています」
現在、模倣理論の分類は、持株会社やコーポレートガバナンスのタイプ、海外展開、環境戦略、技術適応、技術の普及など、さまざまな研究分野に応用されている。バブル期以前の日本企業の国際競争力を高めてきた要因として、日本は米国に比べ、1つの製品市場に能力が拮抗し、多くの企業が競争していることが挙げられる。その結果、国レベルで技術機会にR&Dリソースが集中的に投入されてきた。
「日本市場はライバル間で監視して、ライバルが少しでもリードするとすぐに追随し、少しでもいいからリードしようと努力します。この激しい競争が企業を鍛え、国際競争力を高めてきました。一方、模倣は、企業の戦略や技術パスの選択肢を狭めることから、大きなポジティブ、あるいはネガティブの結果に賭けることになります。そのため個々の企業にとってはリスク抑制になりますが、産業や国全体にとっては大きなリスクを負うことになります」(淺羽氏)
そこで今後のアイデアとして淺羽氏は、「流行やバブルはなぜ起きるのか、さらになぜバブルは弾けるのか、なぜ歴史の中で同じことを繰り返すのかといった研究に模倣理論が生かされるかもしれないと考えています。また、これまでは模倣する側の研究が多かったのですが、今後は模倣される側である市場リーダーの戦略を研究することも必要だと考えています」と話している。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授