経営者やマネジメント、リーダーには2つの「描く力」が必要だ。
第15回:メンバーが「やる気」をなくす上司の10の言動。モチベーションアップの前に、社員の意欲低下を防ぐことこそが必要
第16回:メンバーたちのやる気喪失の原因は上司にある! これを気付かせ、「学習性無力感」から脱出する方法
第17回:組織が社員のやる気を失わせる! 良い会社とダメな会社を見分けるには「社外規範」と「社内規範」をチェックせよ
第18回:対話、1on1。その前提としての心理的安全性が、なぜいま非常に重要であるか
第19回:企業・組織から自律していく人たち。そんな自律型人材に愛される組織を作るポイント
エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。
自社のメンバーたちがどうすれば生き生きと働き、自ら動く組織となるのかについて、ベストセラー『こうして社員は、やる気を失っていく』の著者、株式会社モチベーションジャパン代表・松岡保昌さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けする、第5回です。(2022年7月21日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:社員のやる気を、こうして取り戻せ!」)
このトークライブは「経営者力 5つの力の診断」シリーズとなっています。松岡さんとも経営者やマネジメントにはどのような力が求められているのかという観点でディスカッションを行いました。
簡単に「5つの力」を紹介すると、経営者JPが特定した経営者力のコアな因子は「描く(構想力)・決める(決断力)・やり切る(遂行力)」の3つです。言葉にすればすごく平易ですから、読者の皆さんも直感的に理解できるでしょう。
これをレバレッジさせていくのが「まとめる力(リーダーシップ力)」と「学び続ける力(学習力・習慣化力)」の2つです。
松岡さんは、経営者やマネジメント、リーダーには2つの「描く力」が必要だと言います。
1つ目はビジョンで、「どんなことを実現したいのか」「実現した時にはどういう世の中になっているのか」ということです。自分が生まれたからには、起業するからには、働くからには、どんなミッションが必要なのか、そして、その時にはどんなビジョンがあるのか。これがすごく重要です。
それに加えて、2つ目はそこに行くための「シナリオ力」。「そこに到達するまでのプロセスを描く力」もすごく求められます。これがないと、いくら構想やビジョンを描いても実現しませんよね。そしてその実行のし方に「共鳴・共感させられるかどうか」が、「まとめる力」に絡んできます。だから「シナリオ力」もすごく重要です。
そのシナリオを持って、ここまでの話にあったように、いろんな人と対話を重ねていく。経営者やマネジメント、リーダーの仕事は、その中で「どういうことをしていくのが望ましいか」「実際どういうふうに実行・実現していくのか」などを示していくことだと思います。
「決める力」もすごく大事ですねと松岡さん。
もちろん「自分で何かを英断すること」が大事なのですが、さらに「決めるための情報がきちんと伝わる仕組みを作る」ということもすごく重要なのだと松岡さんは強調します。
このトークライブの前半に話の出た「当事者意識」があれば、お客さまの情報や変化を社内に伝えようとします。トップや、少なくとも上司には上げようと思うはずです。だから「ちゃんとした判断をするための情報が上がってくる仕組み」を作る力を含めて、「決断力」だと思ったほうがいいのです。
一見「決める」というと、「あるものに対して自分なりの判断をくだすこと」だけに思えますし、リーダーシップというと「みんなを巻き込んでいくこと」だけだと考えてしまいます。
しかしそれだけではなく、「そのお膳立てになる情報をちゃんと取りに行くこと」、また逆に「情報を先にみんなに伝えていくこと」が欠かせません。これは「経営者力診断」を開発していて、私(井上)も発見だなと感じました。
松岡さんはまた、これからの経営者やリーダーがどうあるべきかについて、5つの力の「リーダーとして巻き込む力」がすごく重要になってくると言います。
個々人が自律し始めて、組織に遠心力が働くようになっていく中で、もう1度「何のために、何をやるのか」を熱く語れるかどうかがすごく大切になることは、皆さんも肌で感じるのではないでしょうか。
上に立つ人こそ、本気で「これを実現したいんだ」と自分の言葉で言えるかどうか、そして「理念に共感・共鳴させて、ついてきてもらう人を増やせる力」がすごく重要になってきます。
おそらく、そこでの熱量が影響力になるのではないでしょうか。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授