理念に則ったことをしても評価されなくなり、逆に理念に則らないことをしたほうが評価される企業や組織では、理念は言葉だけになってしまい、社員のやる気は失われる。
エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。
自社のメンバーたちがどうすれば生き生きと働き、自ら動く組織となるのかについて、ベストセラー『こうして社員は、やる気を失っていく』の著者、株式会社モチベーションジャパン代表・松岡保昌さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けする、第3回です。(2022年7月21日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:社員のやる気を、こうして取り戻せ!」)
社員のやる気を失わせる原因として、前回、上司が引き起こしてしまっていることについて考えてみました。しかしこれは、上司1人の責任ではなく、組織としての、会社としての考え方、会社として起こっている現象などが社員のモチベーションを下げていることがよくあるのです。
松岡さんは、社員のモチベーションを下げる企業には15の特徴があると言います。
例えば典型的なのは、「挑戦」「改革」といった勢いの良い言葉を掲げるものの、それが空手形(約束が履行されない)の言葉として飛び交っている組織。
また、素晴らしい理念を掲げているのに、その理念が実態と結びついていない会社も少なくありません。
もともと創業の際には、創業の想いや目指すものがミッションやビジョンとして血の通った言葉に落ちているものですが、年数を経るごとに、また社員の世代を経るごとに、徐々に自分たちの言葉でなくなっていき、いつしか「額に飾られたもの」になってしまうのです。
そうすると、現場では理念とは異なる原理や判断に基づき業務を進めることになっていたりします。
理念に則ったことをしても評価されなくなってしまっていて、逆に理念に則らないことをしたほうが評価されるようになっている企業や組織も現実にありますよね。そうすると理念は言葉だけになってしまいます。
これを読んでいる皆さんには、ぜひ、自分の会社がそうなっていないか、一度見直してみてください。
松岡さんは良い会社の見極め方として、「御社の理念は?」と「ではその理念を体現するとは、この部署でどのようなことをすることなのでしょうか?」の2つの質問をしてみるとよいと言います。
もちろん、この両方について誰に聞いてもパッと答えが返ってくる会社は素晴らしい。しかし、ありがちなのは「御社の理念は?」についてすぐに答えられても、「その理念を体現するとは、この部署で何をすること?」が返ってこない。これはせっかくの理念が、理念のままに留まっていて、実現・体現されるところにまで行っていないことを現しています。
その会社が世の中に対してどういう価値を出して存続し、尊敬される会社であろうとしているか。松岡さんはこれを「社外規範」と名付けていて、これがすごく重要だと強調します。
企業理念は、その社外規範とそれを成し遂げるために社員に求める「社内規範」の両方について言葉にしたものが多いそうです。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授