ビジネスアナリシスの各活動をファシリテーション活用して推進することで、どのように組織の意思決定の質とステークホルダーの満足度を高め、ひいては組織変革を成功に導くことができるのかを考える。
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DXをはじめさまざまな分野でのビジネスアナリシスの効果や必要性については、これまでの記事に掲載されている通りです。
第20回は、ビジネスアナリシスにより、新たな価値を提供していくためのアプローチの一つとしてファシリテーションの活用について考えていきます。
ビジネスアナリシスとファシリテーションの組合せに焦点を当て、ビジネスアナリシスの各活動をファシリテーション活用して推進することで、どのように組織の意思決定の質とステークホルダーの満足度を高め、ひいては組織変革を成功に導くことができるのかを考えます。
ビジネスアナリシスとは、組織などの環境(コンテキスト)におけるニーズを特定し、そのニーズを満たすために必要な変革(チェンジ)と解決策(ソリューション)を定義・デザインし、関係者(ステークホルダー)間の調整を通じて価値(バリュー)を創出する体系的なアプローチです。ビジネスアナリシスの知識体系であるBABOK(R)ガイドv3の詳細な解説は、以下の記事を参照ください。
ファシリテーションとは、「集団による知的相互作用を促進する働き」であり、「協同促進・共創支援」を意味します。ファシリテーターは、会議や議論の場で中立的な立場を保ち、チームのプロセスを管理し、メンバーのチームワークを引き出し、そのチームの成果が最大となるように支援する役割を担います。
ファシリテーターは、コンテンツそのものに直接介入するのではなく、プロセスに着目し、介入することで、意思決定の質とメンバーの納得度の両方を高めることを目指します。
ここでいうコンテンツとは、議題や情報などを示します。また、プロセスへの介入には、緊張をほぐす、目的を明確にする、全員に発言を促す、対立意見を尊重するなどがあります。
ファシリテーターの存在により、チームの相乗効果が活性化され、課題解決のスピードも向上します。ファシリテーションには、主に以下の4つのスキルがあります。
BABOK(R)ガイドv3では、ファシリテーションは、計20カ所ほどで言及されており、特に「引き出しとコラボレーション」知識エリアのテクニックと「基礎コンピテンシー」の「人間関係のスキル」において重要視されています。また、「基礎コンピテンシー」の「コミュニケーションスキル」では、ファシリテーションの「対人関係のスキル」の一つである傾聴も取り上げられています。
BABOK(R)v3ガイドにおいて、テクニックは「タスクの実行方法やアウトプットを導き出すために必要な手法」と位置付けられており、ビジネスアナリストが持つべきスキルや行動特性などを「基礎コンピテンシー」として定義しています。
つまり、テクニックは単なる「手法」であり、それを「うまく使いこなす」ためには、ビジネスアナリスト自身のスキルが問われることになります。そして、テクニックやスキル、行動特性などが「基礎コンピテンシー」を構成し、強化していきます。
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明治学院大学 経済学部准教授