2018年に始まったIIBA日本支部の勉強会が参加者、および所属組織やコミュニティにもたらした“ごりやく” と、参加者の目的・成果が時代とともにどう変化したのか。
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2018年に始まったIIBA日本支部の「【実務者のためのBABOK(R) V3勉強会】」は、Sier、ユーザ企業、情報子会社、コンサル、教育機関まで累計79人が参加し、「現場で使えるBA」を合言葉に学びと実践を重ねてきました。 本稿はこの勉強会が参加者、および所属組織やコミュニティにもたらした“ごりやく” と、参加者の目的・成果が時代とともにどう変化したかをデータと声から俯瞰(ふかん)します。
この勉強会は、あくまでもビジネスアナリシスに関心がある参加者個人が、BABOKガイドを中心とするビジネスアナリシスを深く理解することを支援するものです。 このITmediaエグゼクティブという場を考えて、勉強会の中での議論や、参加者の声から、所属企業の経営にも貢献できているところという観点で振り返ってみると、以下の “3つのごりやく(アウトカム)”があると思います。
(1)基本スキルの習得と、現場業務とのマッピングで要求定義と企画品質の向上(失敗コストの逓減)
参加者は「自分たちの活動がBABOKのどこに位置づくか」を言語化し、抜け漏れ・思い込みを減らすフレームを身につけ、実務では、優先度付け・トレーサビリティ・合意形成が整い、手戻りや過剰仕様を減らすことに活用可能という声が多くあります。
(2)多様な視点からの議論で腹落ち感とコミュニケーションの改善(合意スピードの向上)
スタディメモ→コーディネータの回答案→当日のディスカッションという設計で、立場の異なる参加者が共通言語で対話します。「1人では読み進められないが、議論で理解が進む」という声が多数で、実務に直結する“腹落ち”を継続的に生み、現場でのコミュニケーション改善につながることが期待できます。
(3)DX推進力・内製化基盤の強化(学習する組織の育成)
社内への展開(勉強会・育成制度)や、各自の資格取得(ECBA/CBAP)につながるケースも目立ちます。また、ビジネスアナリシス・コミュニティにとっても、勉強会のOBOGがIIBA日本支部の理事や、部会メンバーに参加する事例も多く、「自走する組織知」の土台につながるのではと考えます。
(1)参加者の所属(累計79人)
SIer 26人、ユーザ企業 24人、情報子会社 14人、コンサル 8人、教育 4人、ソリューション提供 2人
(2)主な参加目的
(※参加者自己紹介票の自由記述から要約)。
当初は、SIer所属の人が多いのではと考えていましたが、ユーザ企業の比率も多高く、回を重ねるごとに、ユーザ企業でも単に興味を持ったというよりも実業としてIT企画をやっている中で必要性を感じた人や、情報子会社でも、これまでの親会社との甲乙の関係から一体となってビジネス価値創造するというフォーメーションに変革していく役割を持った人の比率が上昇してきているように感じます。
参加者も上述のようにさまざまな人が参加していますし、参加者に記載してもらう「学んだこと」「使えそうなこと」「疑問」「感想」をトリガーにした議論テーマは、各回異なるのですが、議論内容の大きなトレンドは以下のような変化があるように見えています。これは、参加者個々人というよりも、ビジネスアナリシスという領域に対しての業務上のニーズ、期待値が変わってきているからではないかと感じています。
(1)Phase 1:基礎理解・資格取得に関する議論が主(2018―2020)
「全体像をつかむ」「まずは自分の仕事を言語化する」といった基礎固めが中心。CBAPなどの学習動機も強かった。
(2)Phase 2:実践・社内展開を意識した議論の増加(2020―2022)
現場適用・テンプレート化・優先順位付けなど“使いこなす工夫”が増加。社内勉強会の立ち上げ/育成制度への実装といった組織的展開が目立つ。
(3)Phase 3:DX・経営課題の橋渡しの議論が登場(2023―)
企画・投資判断・変革ガバナンスまで視野を広げた「経営戦略→現場実装→経営戦略」のトレーサビリティをどう設計するかなど、戦略と整合した事業運営、IT企画にビジネスアナリシスの考え方を適用するための議論が登場。
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明治学院大学 経済学部准教授