窓からガウディ建築をまなざす「ガウディ:未来をひらく窓」が21_21 DESIGN SIGHTで開催タイムアウト東京のオススメ

東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。

» 2026年05月26日 08時00分 公開
photo1 Photo: Karin Minamishima | (左から)ディレクターの菊池彩乃、山村健、パラウ・グエル館長のギジェム・ムンデット・ジェニス(Guillem Mundet Genis)、YKK APの小野寺哲也

 ガウディの没後100年となる2026年。建築家アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)が設計した窓に着目した展覧会「ガウディ:未来をひらく窓」が2026年7月12日(日)まで「21_21 DESIGN SIGHT」で開催中です。2019年からガウディ建築の調査研究を行ってきたYKK APが主催し、いまだに謎に包まれているガウディの窓に関する研究成果・模型・ドキュメンタリー映像などを展示する本展。ユネスコ世界遺産「パラウ・グエル」や「サグラダ・ファミリア」をはじめ、オリジナルの建具やステンドグラス、図面を俯瞰しながら、創造的で革新的なガウディの窓の魅力を多角的に紹介する産学官連携プロジェクトでもあります。

photo2 Photo: Karin Minamishima | 会場の導入部
photo3 Photo: Karin Minamishima | YKK APが取り組んできた、「パラウ・グエル」で開催された展覧会のバーチャルツアー

ガウディにとって「窓」とは何だったか

photo4 Photo: Karin Minamishima | ガウディの建築と窓の系譜図

 窓は建築を構成するパーツの一つですが、技術や機能的、美的な側面において、建築を決定づける重要な要素でもあります。産業革命や工業化社会の発展に伴い、窓の製造は機械化でより効率的で合理的な生産モデルへと移行しました。

 しかしガウディの作品において、窓は新たな建築形態や解決策を生み出すための実験の場であり、職人技を生かす手段で在り続けました。展示では、ガウディの窓のデザインを時系列上に並べ、多様な窓を楽しみながら彼の思考プロセスを見つけられるでしょう。

photo5 Photo: Karin Minamishima | 「サグラダファミリア」の窓の模型

「ガウディの窓」がある暮らしを想像する

 展覧会の導入部では、「カサバトリョの窓(再現)」「上げ下げ窓(通称ギロチン窓)」「左右にスライドし折りたためる窓」「中央から開く窓」の4種類の模型が展示され、実際に手で動かしながら鑑賞できます。窓を開閉する感覚を通して、ガウディ建築の住人や利用者になったかのような気分になれます。

photo6 Photo: Karin Minamishima | 独創的なガウディの窓の構造を実際に触って鑑賞できる展示

 中には重く、開けるのに少しコツが必要な窓もあります。しかし実際に触れてみることで、「こんな窓のある家に住んでみたい」と自然に想像が膨らみ、窓という存在が単なる建築の一部ではなく、自分たちの暮らしと密接につながっていることに気づかされます。

photo7 Photo: Karin Minamishima | ガウディが手がけた最初のアパート「カサ・カルベット」で用いられた「左右にスライドして折りたためる窓」。急いでいる時は手を挟みそうで怖い
photo8 Photo: Karin Minamishima | ガウディ建築で長きにわたって用いられた「上げ下げ式」は、開閉する時に内部の鉄管同士がぶつかって、柔らかい金管楽器のような音を奏でる。

ガウディらしい窓をデザインする

photo9 Photo: Karin Minamishima | ステンドグラスのデザインが体験できるコーナー

 ガウディによるステンドグラスのデザインを体験できるコーナーも用意されています。手元のリモコンを操作すると、色彩やパーツの形が次々と変化し、組み合わせによって窓の印象が大きく変わっていきます。自由に試行錯誤しながら遊んでいるうちに、自然とガウディが用いた色彩感覚や有機的なフォルムの特徴を体感できる仕組み。自分だけの組み合わせを探しながら、ガウディらしい窓のデザインを楽しみましょう。

photo10 Photo: Karin Minamishima | 筆者がデザインした窓。柔らかいテイストが好きなので花のような丸い形と明るい色を組み合わせた

 窓が採光や換気のための装置ではなく、人と外界の緩やかな境界として設計していたガウディの創造性に驚くことでしょう。映像や資料を見るだけでなく、模型を動かしたり、デザインしたりしながら鑑賞することで、建築を身体感覚として体験できるのが本展の大きな魅力。窓という身近な存在を通して創造性や豊かな暮らしについて考えるきっかけになりそうです。没後100年を迎える今だからこそ、未来へと開かれたガウディの視点に触れてみてはいかがでしょう。

著者プロフィール:タイムアウト東京 編集部

タイムアウトは、1968年にロンドンで創刊され、現在は世界333都市59カ国、14言語で展開する国際的なシティガイドです。東京版「タイムアウト東京」は、日本のヒト・モノ・コトを独自の視点で取り上げ、日英バイリンガルで世界に魅力を発信。高いブランド力とグローバルネットワークを背景に、雑誌やウェブ、ガイドマップを展開。恵比寿には「タイムアウトカフェ&ダイナー」もオープンしています。


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