東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。
Photo: Karin Minamishima | (左から)ディレクターの菊池彩乃、山村健、パラウ・グエル館長のギジェム・ムンデット・ジェニス(Guillem Mundet Genis)、YKK APの小野寺哲也ガウディの没後100年となる2026年。建築家アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)が設計した窓に着目した展覧会「ガウディ:未来をひらく窓」が2026年7月12日(日)まで「21_21 DESIGN SIGHT」で開催中です。2019年からガウディ建築の調査研究を行ってきたYKK APが主催し、いまだに謎に包まれているガウディの窓に関する研究成果・模型・ドキュメンタリー映像などを展示する本展。ユネスコ世界遺産「パラウ・グエル」や「サグラダ・ファミリア」をはじめ、オリジナルの建具やステンドグラス、図面を俯瞰しながら、創造的で革新的なガウディの窓の魅力を多角的に紹介する産学官連携プロジェクトでもあります。
窓は建築を構成するパーツの一つですが、技術や機能的、美的な側面において、建築を決定づける重要な要素でもあります。産業革命や工業化社会の発展に伴い、窓の製造は機械化でより効率的で合理的な生産モデルへと移行しました。
しかしガウディの作品において、窓は新たな建築形態や解決策を生み出すための実験の場であり、職人技を生かす手段で在り続けました。展示では、ガウディの窓のデザインを時系列上に並べ、多様な窓を楽しみながら彼の思考プロセスを見つけられるでしょう。
展覧会の導入部では、「カサバトリョの窓(再現)」「上げ下げ窓(通称ギロチン窓)」「左右にスライドし折りたためる窓」「中央から開く窓」の4種類の模型が展示され、実際に手で動かしながら鑑賞できます。窓を開閉する感覚を通して、ガウディ建築の住人や利用者になったかのような気分になれます。
中には重く、開けるのに少しコツが必要な窓もあります。しかし実際に触れてみることで、「こんな窓のある家に住んでみたい」と自然に想像が膨らみ、窓という存在が単なる建築の一部ではなく、自分たちの暮らしと密接につながっていることに気づかされます。
ガウディによるステンドグラスのデザインを体験できるコーナーも用意されています。手元のリモコンを操作すると、色彩やパーツの形が次々と変化し、組み合わせによって窓の印象が大きく変わっていきます。自由に試行錯誤しながら遊んでいるうちに、自然とガウディが用いた色彩感覚や有機的なフォルムの特徴を体感できる仕組み。自分だけの組み合わせを探しながら、ガウディらしい窓のデザインを楽しみましょう。
窓が採光や換気のための装置ではなく、人と外界の緩やかな境界として設計していたガウディの創造性に驚くことでしょう。映像や資料を見るだけでなく、模型を動かしたり、デザインしたりしながら鑑賞することで、建築を身体感覚として体験できるのが本展の大きな魅力。窓という身近な存在を通して創造性や豊かな暮らしについて考えるきっかけになりそうです。没後100年を迎える今だからこそ、未来へと開かれたガウディの視点に触れてみてはいかがでしょう。
タイムアウトは、1968年にロンドンで創刊され、現在は世界333都市59カ国、14言語で展開する国際的なシティガイドです。東京版「タイムアウト東京」は、日本のヒト・モノ・コトを独自の視点で取り上げ、日英バイリンガルで世界に魅力を発信。高いブランド力とグローバルネットワークを背景に、雑誌やウェブ、ガイドマップを展開。恵比寿には「タイムアウトカフェ&ダイナー」もオープンしています。
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明治学院大学 経済学部准教授