特集
» 2009年01月26日 10時45分 UPDATE

【新春特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2009年大予測:「M2M」から「M2E」へ――IT活用の新機軸 (2/2)

[名雲俊忠(スピネーカー・パートナーズ),ITmedia]
前のページへ 1|2       

見える化の「M」

 一方で現状のM2Mは、個別の問題解決の域を出ていない懸念がある。機械と機械をつなぐという概念にとらわれ過ぎると、「木を見て森を見ず」という状況に陥りやすい。機械と機械をつなぐというのはあくまで手段であり目的ではない。目的は「見る」ことである。つまり「見える化」のMなのだ。

 では、見るためには何が必要だろうか。これまでの遠隔監視も実は見るということにほかならないが、M2Mの成果は現場などの一部を見ることに限定されている。M2Mの真価が発揮されるのは、獲得したデータをどのように活用するかである。

 例えば、工場における生産システムは、基幹システムとは別系統になっていることがほとんどだ。セキュリティ上の理由と、管轄部門が異なることが主因である。しかし、現場の生産状況に基づき経営判断を迅速に行ったり、在庫管理や受発注を行おうとする現状をかんがみれば、これらのシステムが別々に存在するという現状は不完全なものである。これはほかの産業分野でも同様である。個別のシステムがいまだにつながらず存在していることが多い。真のサプライチェーンマネジメント(SCM)構築のためには、現場のデータが経営システムにまでつながっていることが重要である。すなわち、Machine to Enterprise、M2Eが求められているのだ。

 ある企業が顧客に納入している機器の保守を遠隔で行うためには、顧客の現場を見る必要がある。しかし顧客は生産データの漏えいなどを恐れ、遠隔監視を許さない。他方で木目の細かい保守を望んでいるのだ。遠隔保守を行いたい企業が必要とするデータだけを見ることができればこの問題は解決する。見える化するためには「見えない化」も必要という禅問答のようでもある。実際にこのようなネットワーク接続技術を開発し、商用化を進めている企業もあり、企業間の垣根を越えたM2Eを実現させる素地もつくられ始めている。

 このように、M2MはM2Eという方向に発展していくことが必須なのである。ただしそのための課題も多く、現場の状況や業務プロセス、要望などに基づき、必要なICT(情報通信技術)を適用していく方法論が欠かせない。一般のユーザーは、ITのことをそれほど知らないのだ。そのような人々が必要な道具として容易に使える環境にまで落とし込んでいく必要もあろう。現場とITの双方に通じたスタッフを育成、投入することも必要である。このような活動がITの価値を高め、ユーザー企業の価値を高めていくのである。ユーザーとベンダーのコラボレーションを通じ、M2Eを実現すること。これが、2009年の新機軸の1つである。

 参考までに、2008年9月にM2Mコンソーシアム編著で「M2M あらゆるモノを通信で繋ぎ競争力に差をつける!」(日刊工業新聞社)という書籍が出版されているので詳細はそちらを参照されたい。


名雲俊忠氏が主催するエグゼクティブ・コミュニティー

nagumo.jpg

ユビキタス 次の一手

ユビキタスネットワーク環境は、その可能性のほとんどが未開です。有効に使っていくためには、様々な視点、アイディア、知恵などなどが必要です。皆で考えていきましょう。



前のページへ 1|2       

Copyright© 2012 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Special

- PR -

Special

- PR -

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、企業の明日を変えるエグゼクティブのための無料の会員制サービスです。
ぜひこの機会にお申し込みください。
下記入会条件を満たされている方には、ITmedia エグゼクティブ事務局が審査の上、入会のために必要な招待状をメールでお送りいたします。

お名前
メールアドレス
貴社名
※正式名称で記入してください
ご所属名
お役職名
貴社の従業員数

Special

- PR -

お勧めコミュニティー

【CIOの条件】国際CIO学会の役員たち

3月14日に国際CIO学会の新会長に就任した。すでに再任理事、監事に新任を加えて30人ぐらいの役員であるが、その中にCIO関連などICT団体を代表する方々が入っており、友人の教授からすごい組織になりましたね、と新会長就任のお祝いとと共に、組織の拡充を言われた。

【松浦尚子のワイン&コミュニケーション】かぐわしい白い花とアンズの香りが飲む人を驚かせる白ワイン「コンドリュー」

昨晩、私が長年親しくさせてもらい、大変尊敬している外務省のSさんからお誘いをいただき、西麻布にあるフレンチレストランでITや教育、文芸などそれぞれの分野でご活躍の方々と楽しいひと時を過ごさせてもらいました。

【夏目房之介の「ほぼ与太話」】『マンガはなぜ面白いのか』中国版発行

2年ほど前から、いろんな人のご協力をえて、中国の新星出版から『マンガはなぜ面白いのか』(NHK出版)が翻訳出版されました。

節電お役立ち情報(スマートジャパン)

news093.jpg

三菱電機が建設した「大船スマートハウス」は、電気自動車の蓄電池と太陽光発電システム...

news009.jpg

後編では、具体的に見える化システムを活用した例を紹介する。見える化システムで課題を...

news134.jpg

東京都は昨年夏に企業や家庭で実施された節電の実例をもとに、基本方針とすべき「3原則」...

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆