スポーツは日本を元気にする小松裕の「スポーツドクター奮闘記」(1/2 ページ)

多くのトップアスリートに帯同し、海外を駆け回るドクター小松の新連載「スポーツドクター奮闘記」では、知られざるスポーツの現場や最新のスポーツ医学の話題などを中心に、スポーツの魅力を最大限に伝えていきます。

» 2009年05月15日 08時50分 公開
[小松裕(国立スポーツ科学センター),ITmedia]

 侍ジャパンによる感動のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)連覇からはや1カ月が経ちました。

 3年前の第1回大会では、チームドクターとして最後まで帯同し、紙吹雪舞うサンディエゴ・ペトコパークで選手たちと感動を分かち合いました。今回のWBCでは、宮崎での合宿から東京ドームで行われたアジアラウンドまで帯同し、米国での2次ラウンド、決勝ラウンドは日本から選手たちを見守りました。ですから、チームと離れて、ある意味気楽に、テレビ観戦できたのでした。

 気迫あふれる選手たちのプレイ、そして最後のイチロー選手のタイムリーヒット。皆がそれぞれの役割をきちんと果たした劇的な優勝でした。日本での熱狂ぶりを肌で感じながら、「やっぱりスポーツは日本を元気にする」と感じたのでした。

侍ジャパンの活躍に沸く日本の応援席=2009年3月7日、東京ドーム 侍ジャパンの活躍に沸く日本の応援席=2009年3月7日、東京ドーム

 準決勝で米国戦に勝利した後、「アジアラウンドの時から、ベンチですべて試合に出ていました」と語った福岡ソフトバンクホークス川崎宗則選手、あの言葉にも感動しました。川崎選手とは2002年11月にキューバで開催された「第15回IBAFインターコンチネンタルカップ」にチームドクターとして帯同してからの付き合いです。キューバから帰国し、品川のホテルでチームが解散した後、「どこで飯を食えばいいんだろう」といった感じでロビーに立っていた川崎選手を食事に誘ったのがきっかけでした。

 その後はご存じの大活躍で一躍スター選手の仲間入りを果たしましたが、無名時代からの付き合いもあって、仲良くさせていただいています。さわやかで礼儀正しく、何よりも決しておごることなく真摯に野球に取り組む姿勢が大好きです。

 WBCの熱戦を伝えるテレビで目にした彼の姿は、わたしの知る川崎宗則そのものでした。彼は、ベンチで本当にいつも大きな声を出していました。彼の声はベンチ裏まで響き渡っていました。いつ呼ばれてもすぐに出られるように準備していました。スタメンで試合に出られなくても腐ることなく、チームの中で自分の役割を理解し、一生懸命やっていました。彼のあの感動的な言葉は、決してマスコミや国民を意識して出たわけではなく、ありのままの彼の気持ちがストレートに表われたのです。どれだけの人が魅了されたのでしょう。皆を元気にするスポーツの力を感じました。

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